オアシスプロジェクトは,総合地球環境学研究所の研究プログラムの一つとして,2002-2007年度の5年間で行われる予定です.2001年度にはFisibility Studyとして予備的研究を一年間おこないました.2002年度から本研究が始まりました.

 オアシスプロジェクトの研究は,大きく2つのグループにわけられます.

1. 水需給過程グループ(水循環素過程の観測および水需要の社会経済学的評価)

 黒河流域における降水過程や氷河過程,河川流出過程,地下水流出過程,灌漑等による地表面からの蒸発過程など水資源変動に関わる個々の素過程を観測し,水資源の評価とその変動要因をあきらかにします.また,同地域の生業,たとえば農業や工業,林業,遊牧,商業それぞれにおける水の利用状況を,現地行政機関等の資料を収集解析し,水資源の変動に対する相互利用やコンフリクトとその克服手法など,水需要と最近の変化に関する社会経済学的評価研究を,環境保全などを含むその他の社会的,宗教的,文化的要因と関連させながら明らかにします.

2. 歴史再構築グループ(水資源,水利用の歴史的変遷過程の解明)

 黒河流域およびその周辺部に関する古文書など歴史文献の解読,および雪氷コアや湖底堆積物,風成土堆積物,タマリスクマウンド,樹木年輪試料などの代替記憶媒体の解析,さらに考古学的調査研究などによって,水資源と水需要(各種生業の変遷など)の歴史的変遷過程を解明します.これら記録による歴史的データの解釈に,上記1,2の過程研究の成果を活用します.

 以上の2つのグループの成果がまとまってきた時点で,水資源変動に対する生態系や人間社会の応答モデルを構築し,同じく歴史的データで過去の水資源変動に対する適応力を,人類の価値観の変化を含めて歴史的に検証します.さらに,上記モデルを,気候変動予測モデルなどとリンクさせつつ,水資源変動負荷への適応性の未来について考察します.

 各研究グループのくわしい研究内容は,こちらで紹介しています.

オアシスプロジェクト5か年計画

2002
2003
2004
2005
2006
水需給過程
社会・経済
予備調査
対象地点の選定
移住・生活史の聞き取り調査(定性) 移住・生活史の聞き取り調査(定量)
農業開発のインパクト評価
流域全体における農業開発のインパクト評価
生態移民アセスメント
水文
(オアシス)
既存資料によるモデル(短期水文)の作成
エチナの地下水解析
張掖・エチナの観測(気象・農業) 臨澤・エチナの観測(気象・農業)
流域モデルの構築・検証
データ取りまとめ
水文
(氷河 )
現地観測 現地観測
融解モデルの作成
融解モデルの作成 広域・変遷モデルの作成
データ取りまとめ
歴史再構築
古文書
黒城文書データベース
エチナ遺跡調査(コロナ)
漢・唐代資料調査
清代 档案データ (降水量)
漢・唐代資料調査
第1期取りまとめ
作業仮説の見直し
清代 档案データ (降水量)
漢・唐代資料調査
清代 档案データ (降水量)
漢・唐代資料調査
取りまとめ
データ取りまとめ
雪氷コア
祁連山氷帽掘削 アルタイ氷河掘削
祁連山分析
東天山氷帽掘削
アルタイ分析
祁連山結果(気温・降水量 100年)
アルタイ結果(気温・降水量 100年) データ取りまとめ
年輪
. 採取 分析 採取 結果(気温 降水 地下水 300年) データ取りまとめ
湖沼堆積物
予備調査 天が湖/ソゴ コア採取・分析 ガシュ 古居延澤コア採取・分析
地域データ取りまとめ データ取りまとめ
地形
天が湖 湖岸線 天が湖 湖岸線 ソゴ
ガシュ 古居延澤 湖岸線
データ取りまとめ データ取りまとめ

2002年度オアシスプロジェクト調査一覧



[Oasis Home]