表面電離型質量分析システム全体像
表面電離型質量分析装置 TRITON
フィラメント・ターレット
フィラメント
イオンソース部
本装置は、天然試料の他、農水産物や人工物などに含まれている元素について、安定同位体分析を行うための装置です。本装置は岩石や鉱物を対象とする固体地球化学の研究に利用されてきましたが、地球研では水の他、大気降下物、土壌、生物、農水産物、食品、生体鉱物(骨や歯)、考古遺物など多くのプロジェクトで採取される様々な環境試料を対象としています。試料に含まれているストロンチウム、鉛、ネオジムの安定同位体分析を主に行っています。環境物質の発生源の特定、環境への影響評価、環境復元などの研究に利用されている、最先端の分析装置です。
本装置は様々な環境試料から、陽イオンクロマトグラフィー法などを用いて抽出した安定同位体元素を質量分析する装置で構成される分析システムです。フィラメントオーブンで脱ガスした金属フィラメントに、抽出元素を試料塗布装置を用いて塗布します。フィラメントはフィラメント・ターレット上に並べて固定され、質量分析装置のイオンソース部内にセットされます。フィラメントを高真空条件で加熱して試料をイオン化し、電場と磁場でイオン中の安定同位体を分離収束させた後、検出器で安定同位体の存在比を精密に測定します。本装置では、試料量は1μg以下、繰り返し測定により10-5以上の安定同位体比分析精度を達成可能です。
本装置は、金属フィラメントを真空条件下で1000℃以上に加熱し、金属中に含まれている不純物を脱ガスさせる事により、フィラメントの純度を向上させるための装置です。
オーブン内にセットした金属フィラメント(タンタル、レニウム、タングステンなど)に直接電流を流して加熱し、金属から放出される不純物を排気します。
本装置は、環境試料から抽出した安定同位体分析用元素を金属フィラメントに塗布する装置です。本装置では一度に5つの試料を処理する事ができます。
オーブンで精製した金属フィラメント上に試料を添加した後、安定同位体元素の蒸発を抑制あるいは促進する溶液試料を滴下しながら加熱し、目的元素をフィラメント上に塗布します。