沖縄本島のおよそ300km南西に位置する宮古諸島は、歴史上、多くの海難事件の舞台となった地です。しかし漂着関係の史料も含め、宮古の在地史料は相対的にあまり多くありません。そこでこの文献不足の穴を埋めるべく、今回は宮古に数多く残されている漂着に関する遺跡を中心的に調査しました。特に船の通航を監視し、航行する船隻が浅瀬に乗り上げないように烽火をあげたり、漂着船や異国船などを発見していち早く役所に連絡したりといった役目を担っていた島内各地の遠目(遠見)番所を精査できたことは今回の調査の大きな成果でした。
参考文献
渡辺美季「近世琉球における対「異国船漂着」体制−中国人・朝鮮人・出所不明の異国人の漂着に備えて−」
(琉球王国評定所文書編集委員会編『琉球王国評定所文書補遺別巻』浦添市教育委員会、2002年1月)