ユジノ・サハリンスクにおける資料調査
−サハリン・アイヌの成立をめぐって−

 環オホーツク海域で交易活動を繰り広げ、絹と毛皮という二大商品の流通に深くかかわったサハリン・アイヌはいつどのように成立したのか。中村と瀬川はこの問題に文献史学・民族学と考古学からそれぞれアプローチしてきたが、今回サハリンにおける関係資料を明らかにするため、2005年3月23日から28日の日程でユジノ・サハリンスク市において調査を実施した。サハリン郷土博物館T.ローン館長並びにM.プロコフィエフ研究員、サハリン大学A.ワシリエフスキー教授の協力を得て両施設における蝦夷錦と擦文土器の収蔵状況を調査し、未報告の擦文土器を確認するなど重要な成果をあげた。これによって北海道からの集団移動が11世紀代に始まったとの見通しを再確認することができたが、サハリン各地に散在する関係資料の調査をさらに進めていく必要がある(文責:瀬川)。


擦文式土器の実測(サハリン大学)


収蔵資料の調査(サハリン郷土博物館)


T.ローンサハリン郷土博物館館長と