北海道噴火湾周辺地域調査(2005.3.16-22)

 噴火湾(内浦湾)沿岸は、縄文時代から中近世(併行)アイヌ期までの遺跡が数多く確認されていることから、北海道の歴史変遷を考える上でも欠かせない地域のひとつといえる。また、同地域では、有珠山の噴火などによる広域火山灰の堆積層が良好に検出されていることから、年代学上の問題を考える上でも注目される。こうしたことを考慮し、本調査では、伊達市を中心に収蔵されている発掘資料と遺跡の現地調査を実施した。


北小金貝塚情報センター

 現地では、数多くの資料や遺跡を実見することができたが、ここでは北小金貝塚を紹介する。同貝塚は、縄文前期を中心とした多層遺跡で、縄文早期から擦文期までの資料が検出されている。特に注目されるのが、縄文海進などの環境変動の痕跡を窺い知ることができることである。海進の最盛期には、台地の直下まで海岸線が迫っていたのである。このような環境変動が、同地域に居住した人々の社会に与えたインパクトを考えることは、われわれのプロジェクトにとっても必須の課題であると思いを新たにした。


北小金貝塚の台地上から海を見下ろす風景