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世界最高峰のエベレストを有するヒマラヤ山脈は、8000mを越す高さ、3000kmにおよぶ長さにおいて、世界でも最大の山脈のひとつである。南からの湿った季節風によってもたらされる夏のモンスーン期に降る降水と、冬期に西からの擾乱によってもたらされる降水とによって、ヒマラヤの氷河は涵養されている。地形が急峻なこと、比較的温暖なことから、氷河の規模は小さいのだが、圧倒的な山岳美と相まって、壮大な景観を形作っている。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤやアンデスの高山の山肌には、「ヒマラヤ襞(ひだ)」と呼ばれる規則的な間隔をもった雪のひだひだが発達している。熱帯や低緯度の高山に特徴的に見られることから、その形成には雪・日射が重要と考えられるが、詳しいメカニズムについては、現地調査が困難なことから未だわかっていない。(写真と文:白岩孝行) |
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エベレストのウェスタンクームを涵養域にもつクンブ氷河は、世界で最も有名な氷河かもしれない。エベレストの登頂ルートとして知られるアイスフォールを越えた氷河は、次第に岩屑に覆われるようになり、黒々とした蛇のように下流に流れる。氷河の両側には、堤防状のラテラル・モレーンが発達しているが、これらのモレーンは、数千年前から19世紀にかけて形成されたものであることが地形調査によって明らかになっている。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河は氷の塑性変形によって流動するため、地形がなだらかで急な変化がない限り、連続的な表面を持っている。しかし、中には、階段状の表面形態をもつ氷河もあり、このコンマ氷河もそのひとつである。このような階段状の表面形態は、剛性的な滑動によって流動する地滑り土塊にしばしば見られ、そのため、氷河の階段構造も剛性的な運動として説明されることもあるが、その詳しいメカニズムは不明である。(写真と文:白岩孝行) |
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ゴジュンバ氷河はネパールで最大の氷河。チョ・オユー山の南に広がるこの氷河は、消耗域の大部分が岩屑に覆われている。このような氷河をD型氷河と呼ぶ。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤの多くのD型氷河では、近年、岩屑に覆われた消耗域の末端付近で巨大な湖が形成されつつあり、その湖が決壊して多くの被害が報告されるようになった。ゴジュンバ氷河では、まだ大きな湖の形成は認められないが、小さな湖ができつつあり、研究者は注意深く見守っている。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤの峰々は鋭い岩峰となっている。プモリも標高は低いものの、魅力的な形をしている。一般に氷河に削られた山々は、鋭い形をしているが、ヒマラヤの峰々の鋭さが、かつて訪れたであろう氷期の巨大な氷河に削られた結果なのか、それとも山自体が有する構造的なものなのか、研究者の間で意見が分かれている。(写真と文:白岩孝行) |
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急峻なヒマラヤの山々には懸垂氷河と呼ばれる急崖にへばりつくように発達した氷河が見られる。このような氷河の消耗は、融解としてではなく、崩壊として起こる。タムセルクの懸垂氷河では、まさに良いタイミングで崩壊が起き、崩壊した雪氷塊が雪崩となって流下した。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤ山脈では氷期にどの程度氷河が拡大したのか?これは長い間研究者によって追求されてきたテーマである。現在の岩屑に覆われた氷河のすぐ側方には、6000年前のヒプシサーマルと呼ばれる温暖期以降に形成されたネオグラシエーションのモレーンが発達している。また、その上方、氷河の合流点の台地状の高まりの縁には、さらに古い時代のモレーンがへばりついている。最近では、宇宙線の照射量を利用した年代測定法によって、このようなモレーンの年代が測定されるようになり、氷河作用の様子もより詳しくわかるようになった。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤ山脈の氷河は大部分がD型氷河だが、中には岩屑に覆われないC型と呼ばれるきれいな氷河も存在する。ランタン谷の中流域にあるリルン氷河(左)とキムシュン氷河(右)は隣り合った氷河だが、全く異なる概観をしている。どうしてこのような違いができるのか大変興味深いテーマである。(写真と文:白岩孝行) |
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リルン氷河は、私にとってとても大切な氷河である。20代の後半のかなりの長い間、氷河地形の研究をするためにこの氷河のもとで暮らした。氷河とはとても思えないような、黒い表面と、衰退しきってしまったような薄っぺらな概観だが、この氷河で学んだことが、のちのちの仕事に役立っている。(写真と文:白岩孝行) |
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初めて氷河の上に立った時の感動は今も忘れない。自分の足下にあるのが全部氷の塊だと実感したときのなんともいえない気持ちは、このヤラ氷河で経験した。ヒマラヤにある小型の氷河はヤラ氷河のようにC型の氷河である。ヤラ氷河は日本人が多くの研究活動を行った氷河でもある。現在は、縮小しているようだが、いつまでも消えずに残っていてほしいと思う。(写真と文:白岩孝行) |
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D型氷河に発達した氷河湖は、しばしば外的なインパクト(雪崩や落石)によって決壊し、突発洪水となって急峻なヒマラヤの谷を流れ下る。流路は浸食され、川沿いの集落は破壊される。多量のD型氷河を抱えるヒマラヤ地域が、今後の気候変化によって多くの氷河湖を抱え込み、決壊の脅威にさらされるのか否か、研究者は真剣にこの問題に取り組んでいる。(写真と文:白岩孝行) |