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大気中の水蒸気が凝結して形成された雪結晶は地面に積もって積雪となる。積雪中の雪結晶は、温度勾配や融解の影響を受けて時間とともに変質する。これを
雪の変態(Snow metamorphism)と呼ぶ。写真は積もって間もない針状結晶の雪粒子。(写真と文:白岩孝行) |
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積雪内に温度勾配があると、雪粒子の昇華・凝結を促し、霜の生成が始まる。氷河上では、主に冬期積雪と夏期積雪との間の温度勾配で、北海道などの季節積雪地帯では
雪が厚い場合は地面と積雪内との間で、雪が薄い場合には積雪表面と積雪内の間で、それぞれ温度勾配が生じ、シモザラメと呼ばれる骸晶状の雪粒子が発達する。氷河の
涵養域においてはこのシモザラメが年層識別の指標となることが多い。また、シモザラメは雪粒子間の結合力が弱いので、しばしば雪崩発生を引き起こす弱層となる。(写真と文:白岩孝行) |
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積雪表面の融雪は均等に生じないことがある。風の乱流構造などによって不均一な融雪が生じ、それが積雪表面のゴミの不均一な
分布を生じさせ、さらにはこれが不均一な融雪を促進する。このような仕組みで、しばしば写真のような亀甲状の雪面模様が形成される日本の雪氷学者の間では、このメカニズムを解明した高橋修平博士にちなんで、このような雪面模様を「修平エクボ」と呼ぶ場合がある。(写真と文:白岩孝行) |
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日射が強く、かつ寒冷な温度状態では、積雪表面直下の内部融解と再凍結によって、表面が光り輝く硬いクラスト層となる。日射が大きな役割を果たすことから、
サンクラストと呼ばれることが多い。が、私はこの形成メカニズムを解明した尾関俊浩博士に敬意を表して「尾関クラスト」と呼ぶことを提唱したい。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河表面に浮かび上がる蛇腹模様はオージャイブと呼ばれる。アイスフォール直下から現れる始めることが多い。
氷河の流動速度が季節的に変化するため、多く融けて汚い夏の層と、少ない融解できれいな冬層がセットでひとつの縞を作ると考えられている。写真のように濃淡の縞ができるものをバンド・オージャイブと呼び、凸凹で縞をつくるものをウェーブ・オージャイブと呼ぶ。写真はフランス・アルプスのメール・ド・グラース氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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ヒマラヤやアンデスの高山の山肌には、「ヒマラヤ襞(ひだ)」と呼ばれる規則的な間隔をもった雪のひだひだが発達する。熱帯や低緯度の高山に特徴的に見られることから、 その形成には雪・日射が重要と考えられるが、詳しいメカニズムについては、現地調査が困難なことから未だわかっていない。(写真と文:白岩孝行) |
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クレバスは、加えられた応力に対して氷が降伏応力を越えて変形する際に生じる破壊現象。「底なしのクレバス」と呼ばれるが、クレバスの底では上載荷重によって氷の塑性変形が生じ、閉じてしまうので「底なし」はあり得ない。その深さは、温暖氷河で25-30mであり、低温で氷の固い寒冷氷河では更に深くなる。写真のようにクレバスの表面を積雪で薄く覆われたヒドゥン・クレバスは、しばしば登山者が踏み抜き、惨事につながる。ヒマラヤ、ランタン谷の氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河に発達するクレバス。氷河の氷には引っ張りやずれ応力が作用する。この応力が、氷の破壊強度を超えるとクレバスが形成される。従って、氷河表面のクレバスの分布状況から、氷河内に作用する応力をおおよそ推定できることになる。写真は、カナダの最高峰ローガン山の北西から流下するオギルビー氷河のクレバス。氷河の流下方向に直交するクレバスは流下方向に引っ張りが働く様子を示し、それが写真下部において変化する様子が見て取れる。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河は、しばしば変成岩にたとえられる。氷は、固体・液体・気体の三重点が生活温度に近い結晶であり、岩石に比べ与えられた応力に対し容易に変形する。岩石の変成作用は見ることが難しいが、氷河上では変成作用の過程を容易に見ることができる。写真はフォリエーションと呼ばれる、流動によって形成された異なる堅さを持つ氷が作る表面の縦縞。シベリア東部、スンタル・ハイアタ山地のNo.31氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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フォーリエーションの一例。周囲の気泡を多く含む白濁した氷に対し、青くみえる部分は気泡を含まない巨大な結晶から構成される。フォーリエーションの形成メカニズムは様々で、年層、クレバスの痕跡、ムーランなど、もともと氷河上にあった構造が流動を通じて発達する。シベリア、No.31氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河によっては、氷河表面に円形の池が多数発達する。これらの池はラクーナlacunasと呼ばれる。スイスのゴルナー氷河のラクーナは有名。写真は、カナダ・アラスカ国境のローガン氷河の例。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河上に規則正しく並ぶ円形の池ラクーナはどのようにして形成されるのであろうか?この写真は一つのヒントを与えてくれる。写真の氷河はローガン山の北面に源をもつローガン氷河であるが、写真左手に発達する一連のラクーナが、上流部に発達するクレバスの凹地に起源を持つことを示唆している。氷河が流下するにつれ、クレバスは閉じていくが、もともとあった凹地に池がたまり、池のところは融解によって閉じずに残される。ラクーナの一部はこのように、クレバスを起源にもっているらしい。(写真と文:白岩孝行) |
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南パタゴニア氷原、ティンダル氷河消耗域に広がる氷河上の湖。温暖氷河は氷体の温度が氷の融点にあるため、氷と水が混在している。青い氷に輪をかけたように青い湖は、一瞬、飛び込みたい衝動に駆られる。しかし、水温は0℃に近いため、落ちたら一巻の終わりである。(写真と文:白岩孝行) |
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温暖氷河、寒冷氷河を問わず、夏の暖かい時期には表面の雪と氷が融解し、融けた水が流路状に氷を融かして川ができる。温暖氷河ではしばしば、これらの川はムーランと呼ばれる縦穴に吸い込まれて氷河底へと輸送されるが、写真に示すシベリアの氷河は、氷体が冷たいため、容易にムーランが形成されずどこまでも川は表面を流れていた。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河上に転がり落ちた巨石は氷河の表面を日射から遮蔽し、ときに巨大なオブジェを作ってくれる。石が断熱材として直下の氷を融解から防ぎ、その間に周囲の氷は融け続け、ついには「氷河卓」と呼ばれる芸術となる。スイス・ベルナーオーバーランド、ウンタアール氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河の底部では、氷河の流動によって下の基盤岩から石がはぎ取られたり、サンドペーパーのように削られる。温暖氷河では底面に水が流れているため、これらの浸食された堆積物は水によって流されるが、寒冷氷河やポリサーマル氷河では、復氷や構造的な原因によって氷河底面に取り込まれる。このような底部の氷をベーサル・アイスと呼ぶ。ベーサル・アイスは目では見えない氷河底面の情報を可視化してくれるので貴重な存在である。ヒマラヤ・ランタン谷、ヤラ氷河のベーサル・アイス。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河の底面は直接目で見えない。しかし、時々、氷河の末端にできた空洞から、氷河底面の様子を伺い知ることができる。写真では上が氷河の底部を下から見ているもの、下が基盤岩。基盤岩と擦れることでできた縦の縞模様が氷河の底面にできている。ヒマラヤ・ランタン谷、ヤラ氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河上で虫とり網をもつ奇妙な人々。氷河はある種の虫にとってたいへん住みやすい環境らしい。これらの虫は氷河上で生活が完結している。東京工業大学の幸島司郎博士や竹内望博士(現 総合地球環境研究所)はこんな虫たちを追いかけて世界中の氷河を飛び回っている。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河を縁取るモレーンの下流側には、広大なアウトウォッシュプレーンが広がる。これは、氷河によって削られた土砂が河川によって運搬された結果、堆積してできる地形である。写真は、カナダのカスカウルシュ氷河の下流に広がるアウトウォッシュプレーン。右上からカスカウルシュ氷河、モレーン、アウトウォッシュプレーンが模式的に並ぶ。画面中央下の森林に覆われた丘は、古い時代のモレーンと思われる。(写真と文:白岩孝行) |
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ヨーロッパや北米の平地には周囲の基盤岩とは異なる地質からなる巨大なレキが点在する。かつて、人々はこれを聖書にでてくる大洪水の証拠と考えたり、氷山に運ばれたものと
考えた。今では「迷子石(Eratic)」と呼ばれ、かつてより規模の大きかった氷河によって運搬されたものと考えられている。写真は南パタゴニア氷原ティンダル氷河へ向かう途中にあった迷子石。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河が後退したり、なくなることによって、ようやく氷河の下の地形が顔を出す。氷河の浸食はさまざまな空間スケールで生じるが、もっとも小さなスケールの浸食地形のひとつが、写真のcrescentic gouge(三日月溝)。氷河の底にある岩石が、基盤岩に接した際に起こる破壊によってできると考えられており、通常、三日月の凹部が上流を向く。ヒマラヤ・ランタン谷の例。(写真と文:白岩孝行) |
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巨大なcrescentic gouge(三日月溝)。南パタゴニア氷原、ティンダル氷河において最近解氷された基盤で撮影。(写真と文:白岩孝行) |
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P-form (Plastically moulded forms)と呼ばれる氷河地形。形成メカニズムとしては3つの考えがあり、現在論争中。ひとつは氷河の削剥、ふたつ目は氷河底面におけるティルによる削剥、そして流水による浸食。写真のP-formでは桶状の外形は水による流路をイメージさせるが、樋の中には連続する削痕があり、ティル中の小レキが浸食に関与した可能性も示唆している。南パタゴニア氷原、ティンダル氷河。(写真と文:白岩孝行) |
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ポットホールと呼ばれる氷河底の流水によって浸食された縦孔。実際に浸食に貢献したと思われる丸いレキがポットホールの底部に残っている。写真のポットホールはスイスのルッツェルンにある氷河公園のもの。直径5m程度。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河や氷床の底部には水が存在する場合があり、時に長大な氷河下流路を形成するらしい。そのような流路にそって堆積が生じ、氷河が融けさると流路の跡が堆積地形として残る。エスカーと呼ばれる氷床に覆われた地域に残る地形。写真は、たまたまエスカーの一部を道路が横断しているため断面が見えている例。カナダ、ウィニペグ州。(写真と文:白岩孝行) |
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氷河や氷床は下の基盤や堆積物を浸食するだけでなく、時には変形させるらしい。また、この変形が氷河・氷床流動の主要な要素であるという観測事例もある。写真は、最終氷期のローレンタイド氷床の下で変形したと考えられるティルの例。カナダ、ウィニペグ州。(写真と文:白岩孝行) |
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氷の塑性変形で形成される大規模な地形は氷河だけではない。永久凍土を有する山岳地域では、岩壁から落下した崖錘を起源にし、その中の凍土層の氷が塑性変形することによって氷河に形態の似た岩石氷河が形成される。氷河に比べて、流動速度は圧倒的に小さいが、毎年少しずつ流動する。ヒマラヤ、クンブ地方の岩石氷河。(写真と文:白岩孝行) |