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氷河に暮らす

氷コア掘削の仕事では、氷コアを掘削した傍ら、氷河上に設置した研究用のテントで氷コアの層序、密度、気泡の形、火山灰などを観察・測定する。雪で作った即席のテーブル に蛍光灯を埋設すると、立派なライトテーブルが出来上がる。コアを透過光でみることによって、細かな特徴が浮かび上がる。じっとコアの観察をしていると、自分が北極にいる ことを忘れ、研究室にいるような錯覚にかられる。
晴天下では快適な氷河上の生活も、悪天候によって簡単に破綻する。3月の北極圏スバルバール諸島では気温-30度、風速25m/秒のブリザードが3日間吹き荒れ、テントが崩壊して しまった。約1ケ月の滞在で、3回テントが崩壊した。作っては壊され、また作る。極地での仕事は根気比べだ。
たとえ氷河といえども、北極圏では一時の油断もならない。海から数百キロ離れた地点でも白熊の危険がつきまとう。キャンプにはライフルと拳銃が常備され、いざという時に 備え練習する。冬のスバールバール諸島、北東島にて。
ドームFUJIは南極氷床のド真中にある。1ケ月かけた雪上車旅行のすえ到着するドームFuji基地では、かわいい娘に出迎えられる。
南極大陸において日本が誇る昭和基地は近代設備を整えた巨大な基地だ。でも、これを維持するための労働も多い。
南極ドームFUJI基地で祝う正月。最高気温が-30度のドームFUJI基地では食事が大きな楽しみである。インマルサット衛星電話で日本に祝賀を伝え、おいしい料理に舌鼓をうつ。 幸い電話の向こうの家族には凍傷と雪焼けと酒焼けの顔は見えない!
南極で冬を越すと、そこそこの寒さには動じない。晴れた日には近くの氷山で総出し、氷に溝を刻んで「そうめん流し」を楽しむ。流れる水が凍らないうちに食べるのがコツ。 この季節になると、ビールは凍らないので慌てて飲む必要はない。
高所・寒冷な環境での長くつらい氷河調査を終え、下界におりて最初に飲むビールは最高である!写真左はカール・ベンソン教授(アラスカ大学フェアバンクス校地球物理学研究所)、右はヤロスラブ・ムラビエフ博士(ロシア科学アカデミー火山学研究所)。アラスカとカムチャツカの巨匠が語り合う。(写真と文:白岩孝行)
雪氷コア掘削と魚釣りは案外発想が似ているかもしれない。目に見えない世界から期待した成果が上がってくる瞬間は最高である。(写真:金森晶作;文:白岩孝行)