最近読んだ本


2001年11月

2001年11月

           「気候の歴史」ル・ロワ・ラデュリ著 稲垣文雄訳 藤原書店

           ISBN4-89434-181-6 8800円+税

 昔から原著のことは知っていたが面倒なので読んでいなかった。京都の本屋さんで偶然見つけて高価だが衝動買いした。アルプスを中心に小氷期の氷河変動の様子を詳細に復元している点は驚き。文献史学の利点が多いに発揮された古気候復元である。が、いかんせん大著であり、気合いがはいっていないと一気に読めない。20%くらいひろい読みして、だらけてしまった。まっ、仕事とも関係の深い本だし、気長に読むことにしょう。

 

「京都議定書-21世紀の国際気候政策」S.オーバーテュアー、H.E.オット著 国際比較環境法センター/(財)地球環境戦略研究機関訳 シュプリンガ・フェアラーク東京 ISBN4-431-70910-X 3800円+税

 気候変動を研究し、日々、「海面上昇に氷河が果たす影響は?」などと講釈をたれている立場としては、京都プロトコルのことくらい知らないと恥ずかしいと思い、これまた本屋でみかけて購入。しかし、内容は議定書策定に至る歴史的・政治的経緯なのであんまり面白くない。やっぱり20%くらいで挫折。また必要がでてきたら読むことにしよう。

 

2001年12月

「ローマ人の物語T−ローマは一日にして成らず−」塩野七生著 新潮社 ISBN4-10-309610-1 2300円+税

 「海の都の物語」以来の塩野ファンであるが、このシリーズはまだ手を出していなかった。とりあえず、1年一作品とのことで、しばらくは新作をまたずとも楽しめるのがありがたい。相変わらず、大昔のことを生き生きと描き出す筆力には感服した。

 

2002年1月

「一万年の旅路−ネイティブ・アメリカンの口承史」ポーラ・アンダーウッド著 星川淳訳 翔泳社 ISBN4-88135-607-0 2500円+税

 スイス滞在中に同じ研究室にいたカナダの客員教授が、「インディアンが口承で伝えた歴史の本をプレゼントされ、面白くて一気に読んだ」と話していた。FRONTのカムチャツカ特集を眺めていたら、執筆者の一人がこの本の翻訳者であったらしく、邦訳の詳しいタイトルがわかったのでAmazon.jpで検索して購入。口承史らしく、たんたんとした歴史が語られていくが、やっぱり途中でダレる。約50%でダウン。

 

「歴史を変えた気候大変動」ブライアン・フェイガン著 東郷えりか/桃井緑美子訳 河出書房新社 ISBN4-309-25154-4 2400円+税

Amazon.comRecommendationにしつこく現れたので興味があったが、書評を見る限り駄作の雰囲気があったので原著では購入せず。旭屋書店で翻訳があるのを知って購入した。基本的に10世紀から20世紀までの気候変化の歴史をヨーロッパでの歴史とからめながら詳述している。NAOの挙動と小氷期の気候変動を関連づけている点が新しいが、その他はあんまり目新しい指摘はない。今日(2月11日)の北海道新聞の書評欄で比較的好意的な紹介がされていた。評者曰く、こういう著作がアジアや日本を対象に書かれて欲しいとのこと。保柳睦美や鈴木秀夫、安田喜憲があるでしょ!と教えてあげたい。

 

「科学革命の構造」トーマス・クーン著 中山茂訳 みすず書房 ISBN4-622-01667-2 2200円+税

アラスカ大学の赤祖父先生が低温研で講演をするにあたって、この本で提唱されているパラダイム・シフトを題材にすると予告されていたので、まぁ読んでみるかという気持ちで旭屋で購入(ちなみに探すの面倒なので、店員に検索してもらったら在庫がないとのこと。仕方なく、書棚をみたらちゃんとある。大書店しっかりしろ!)。読んでみて、あー、そういえば澤柿氏が去年さんざんウンチクをたれていたのはこの考えであったか!と納得した。肝心の赤祖父先生の講演では、「あんな本読まなくてもいい!」との発言がでてがっかりした。初出は古いが、基本的な考えは今でも通用すると思う。

 

「哲学講義1」「哲学講義2」ポール・フルキエ著 中村雄二郎ほか訳 ちくま学芸文庫 ISBN4-480-08341-3; 4-480-08342-1 1350&1550円+税

立花隆の「東大生はバカになったか」を読んでいたら、哲学の教科書として最低読むべきと紹介されていた。セルゲイとの論争に哲学知識の不足を実感していたので、「フランスでは高校のテキスト」という甘い言葉につられてアマゾンに注文。とりあえず、4巻あるうちの2巻だけ購入。張り切って読み始めたが、睡眠剤にしかならなかった。フランスの高校生は偉い!わたしには「ソフィーの世界」で十分である。

 

2002年2月

「西暦535年の大噴火-人類滅亡の危機をどう切り抜けたか-」デイヴィッド・キーズ著 畔上司訳 文藝春秋 ISBN4-16-355870-5 2190円+税

極めつけの環境決定論。西暦535年にジャワ島で大噴火が起こって、これの直接・間接的な影響(特に気候変化)で人類の歴史が形作られたとする大仮説を提示する。面白い!トンデモ本との違いは、使っている古気候データが信憑性があるところ。そういえば、この間低温研を訪れたデンマークのヘンリク・クラウゼン博士がこの噴火の痕跡をドームコアでも見つけたいと言っていたが、元はこの本であったか?ちなみに、クラウゼンさんの名前も情報提供者に連なっている。自然科学者もこのくらい壮大なスケールのストーリーテラーになれたら一儲けできるのに...

 

Glaciers and Climate Change Johannes Oerlemans ISBN 90 265 1813 7 Balkema 100EURO

去年ETHでOerlemansさんに彼の氷河モデルのプログラムを見せてくれるよう頼んだとき、この本の原稿の一部を見せてもらい、面白そうなので出版されたら買いたいと思っていた。頃合いをみはからってAmazon.comにアクセスしたら、既に売り切れ(この返事が来るまで3ヶ月)。直接出版社のBalkemaのWEBで注文したら1週間で届いた。内容はといえば、Oerlemansさんがこれまで出版してきた論文を1冊の教科書にしたような形式だが、平易な英文で順序だてて書かれているので教科書としてありがたい。とりあえず、山口悟君の発案で新入生二人とこの本を用いた勉強会をしようということになった。