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HOME > 研究プロジェクト一覧 > アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945-2005

アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945-2005

プロジェクトのホームページ

地球研年報(業績一覧など)

 

プロジェクトリーダー
秋道智彌 総合地球環境学研究所

 

研究プロジェクトについて

本プロジェクトは、東南アジア大陸部のモンスーン地域に生きる人びとと環境との相互作用環の過程を「地域の生態史」として解明することを目的としました。過去60年に起こった諸現象を生態史連関のフローチャートとして提示し、複雑な事象の連関から地域の生態史を明らかにすることができました。このモデルは他地域にも汎用できることが期待されます。

 

研究の目的

本プロジェクトは、東南アジア大陸部のモンスーン地域(中国雲南省、タイ、ラオス)で過去50〜60年、社会・経済・政治的な変動期に生じた地域住民と環境との相互作用環を地域の生態史として実証することを目的としました。そのために、生業複合、住民の健康と栄養、資源管理に注目し、現地調査、文献、碑文、物質文化などの分析を結合した研究を実施しました。

生態史を考察するため、生業、健康、資源にかかわる項目を100ほど選定し、歴史的に生じた事象の過程を生態連関のフローチャートとして示しました。個々のフローチャートを相互に重ね合わせることにより、地域全体で相互連関と事象間の複雑系の中味が明らかになりました。このモデルはモンスーンアジア地域以外でも汎用することができるので、地球環境問題の解明に有力な方法となることが期待されます。

フローチャートを検討した結果、1980年代以降の中国、ラオス、タイにおける森林政策(三定政策、退耕還林政策、農地区分政策)、新経済政策(ラオスのチンタナカーン・マイ)などが主要な要因として、環境と住民の暮らしや身体に影響を与えてきたことが分かりました。近代化、経済のグローバル化、商品市場化は自給から商品生産へ、糖尿病の増加、トップダウン式の資源管理の導入などの変化をもたらしたことが判明しました。その反面、モチ米食、魚の生食の食文化は持続し、魚の生食による肝吸虫症などの改善もみられませんでした。

生業から衣食住、ライフスタイル、健康と病気・栄養、移動、観光開発、資源管理まで、多様な側面における変化・変容を明らかにしてはじめてこの地域の生態史が明らかになったわけです。

また、18〜19世紀における中国雲南省の碑文調査から、当時、村落基盤型の環境保全が独自に行われていたことが分かり、現状を踏まえて今後の環境開発と保全に地域の知恵と声を生かすことを提言したいとおもいます。また戦後、日本人研究者により収集された資料や写真のデータベースと雲南省の生態年代記に関する時空間データベースを作成し、研究に資するとともに一般公開することができました。

写真 ラオス南部の農村風景
雨季に冠水するため、居住家屋(中央奥)と米倉(手前左)ともに高床式となっています(ラオス南部・セコン川流域のハーランヤイ村)

 

成果の発信

成果出版物として、すでに16冊の単行本・資料集(日本語10、英語4、中国語2)を出版しています。

全体の成果は、地球研のホームページを通じて発信し、また新たに生態史研究会を立ち上げ、研究を発展させています。

 

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