研究推進戦略センター

2007年10月に設置した研究推進戦略センターでは、領域プログラムや研究プロジェクトの枠を超えて、総合地球環境学にかかわる調査・研究を広く行なう研究所全体を対象とした研究支援を行なってきました。2013年度からは、地球環境学の研究開発を深化させ、国内外の研究機関との機関間連携の強化を図るとともに、その基盤となる実験と分析、情報の蓄積と利活用、戦略的広報の体制を充実させるため、研究推進戦略センター(Center for Research Development)と研究高度化支援センター(Center for Research Promotion)の新体制になりました。CRDには基幹研究ハブ部門、連携推進部門、組織点検・戦略策定部門、そしてCRPには計測・分析部門、情報基盤部門、コミュニケーション部門をおき、研究部および管理部と連携しながら多種多様な業務を担っていきます。

CRP 総合地球環境学の研究基盤の提供と手法の研究開発

研究高度化支援センター長
中野 孝教

地球研では、専門分野が異なる多数の研究者によって、研究プロジェクトをはじめとするさまざまな地球環境研究が実施されています。このなかで生まれる多様な知を縦糸とすれば、野外の計測や室内の分析、膨大で多様な情報の整理と保管、研究成果の発信を介した科学と社会のコミュニケーションなど、研究を横断するなかで生まれる横糸の知があります。CRPは、この横断的な知の高度化と実験機器や情報機器の維持管理、成果発信に関するさまざまな支援を行なうことをとおして、地球環境問題の解決に資する統合知の創出をめざしています。

CRP組織図及び業務内容

CRP組織図および業務内容(クリックで拡大)


計測・分析部門

計測・分析部門長
石川 智士

地球研では、日本をはじめとするアジアを中心に、世界各地でさまざまな調査・観測を実施しており、採取する試料も多種多様です。野外データやこれら試料には、人間と自然系の相互作用環の解明につながる貴重な情報が含まれています。特に安定同位体やDNAに関する情報は、作用環研究を進める重要項目であることから、その高精度な情報獲得に向けて最先端の分析機器が整備されています。

2日間でのべ200 名を越える
研究者が参加した第2回同位体
環境学シンポジウム(ポスター)

計測・分析部門では、実験施設の維持管理とともに、先端的な地球環境情報を得るための実験手法の開発、得られる情報の有効利用や研究シーズ開発に関する研究に取り組んでいます。これらの研究を地球研の研究プロジェクトや全国各地の大学・関連諸機関と連携しながら実施することで、実験技術や研究情報の高度化と施設共同利用の支援を行なっています。

2011年度からは同位体環境学シンポジウム、2012年度からは環境マップ事業を企画し、地球環境研究のより一層の促進をめざしています。

 

情報基盤部門

情報基盤部門長
関野 樹

情報基盤部門では、情報の蓄積と利活用という観点から総合地球環境学の構築を推進する取り組みを進めています。そのなかでも「地球研アーカイブス」は、研究成果をはじめとする活動記録を情報資源として蓄積し、利用可能な形で次世代に残すための中心的な役割を果たします。この地球研アーカイブスには、各種出版物、研究会などの資料や映像といった冊子体やテープなどの資料(約4600件)、研究データ、報告書などの電子版、写真などの電子データ(約4300件)が収録されています。さらに、これらの情報資源を実際の研究の場で活用していく手法の研究開発を進めることで、全国の大学・研究機関と情報を通じた共同利用の高度化を図ります。

地球研アーカイブスの資料とデータベース

また、所内のネットワークや各種サーバなどの設備、地理情報システムなどの研究用ソフトウェアといった情報基盤の整備と運用を通じて地球研の研究活動を支えるとともに、人間文化研究機構が進めている研究資源共有化推進事業など、所外との情報共有にかかる事業についても技術面での支援を担っています。

 

コミュニケーション部門

コミュニケーション部門長
阿部 健一

コミュニケーション部門では、研究部とのコミュニケーションを十分図り、研究プロジェクトの成果を、国際シンポジウム・市民セミナー・地域連携セミナー・ニューズレター・英文叢書などさまざまな媒体を通じて発信していきます。対象は研究者コミュニティに限っていません。小中高校生も含めて広く社会にも拡げています。地球研の成果は、一般の方に理解されて、初めて価値をもつと考えているからです。コミュニケーションの対象に合わせて、研究成果をより高次のものに編集する作業も、部門の大きな役割だと考えています。

2011年度から地球研オープンハウス(13ページを参照)も始めるなど、今後もより開かれた研究所をめざします。なお、英文叢書の刊行や英文ホームページの充実を図るなど国際発信力を強化したほか、2013年度には「地球研和文学術叢書(仮)」の刊行も予定しています。

研究者コミュニティ・一般社会とのコミュニケーションを行なうことは、地球研の研究とは何か、を自問することにもなります。それらを通じて、地球研のアイデンティティを確立することが部門の目的です。

国連子供環境ポスター原画コンテスト(UNEP ほか主催)に応募された作品。コンテスト終了後はすべての作品が地球研に寄贈され、環境教育などに活用する
2012年度「子ども霞が関見学デー」における国連子ども環境ポスターワークショップ

 

 

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