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英科学誌ネイチャーへの論文の発表について

総合地球環境学研究所内山純蔵客員准教授の参加する研究グループの論文が、2013年4月10日の英科学誌ネイチャー電子版に掲載されました。内山純蔵客員准教授は2004年度から2011年度までの8年間、地球研の研究プロジェクト「東アジア内海の新石器化と現代化:景観の形成史」(略称:NEOMAP)のプロジェクトリーダーとして研究を進めました。研究グループにはNEOMAPのメンバーも参加するなど、地球研での成果が今回の論文に活かされています。論文では、英ヨーク大学オランダ・フローニンゲン大学新潟県立歴史博物館などの研究者と共同研究を行い、日本列島各地から出土する世界最古級の土器の残留物を分析。氷河期に狩猟生活を営んでいた人類が、魚などを加熱調理していたことが明らかになりました。内山客員准教授は、見晴らしのよい場所、交通の要所などに出土することから、儀礼のために使用していたのではないかと考えています。粘土を焼成して製作される土器は、人類が生み出した最古の工業製品ともいえますが、日本列島などの東アジアでは、定住や農耕を伴わず1万2千年以前の最終氷期に世界に先駆けて登場します。今回の研究成果は、現代景観の文化的起源である新石器化の過程や、技術の起源について新しい展望を切り開くものです。

 

<Nature 誌電子版 掲載タイトル>

Craig, O.E., Saul, H., Lucquin, A., Nishida, Y., Tache, K., Clarke, L., Thompson, A., Altoft, D.T., Uchiyama, J., Ajimoto, M., Gibbs, K., Isaksson, S., Heron, C.P. & Jordan, P. Earliest evidence for the use of pottery. Nature (2013) | doi:10.1038/nature12109

縄文土器

福井県鳥浜貝塚から出土した縄文土器(1万3ー4千年前)。
この資料からは分析は行われていないが、最古の土器の代表例のひとつである。(Kevin Gibbs撮影、福井県立若狭歴史民俗資料館提供)