HOME > トピックス〈一般〉一覧:2013年 > 5月2,9,16,23,30日/6月6,13日(開催案内)

レクチャーシリーズ「エコロジー空間」2013 
『茶室のエコロジー』

下記のとおり、レクチャーシリーズ「エコロジー空間」2013 『茶室のエコロジー』を開催いたします。みなさまのご参加をお待ちしております。

【 趣   旨 】
Figure and Ground —「図と地」の対比からいえば、たいていの場合 、環境は地 (ground) にとどまる。経験の背景 (background) にあるもの、それが環境だ。その時々の経験のなかで、意識的に自覚されることはまずない。
だけれども、環境は感じ取られている。日々の生活は、いつもそんな感覚を随伴している。ただ随伴するだけなので、たいていスルーされ、忘れ去られてしまうけれども、ふとした時に、この感覚が意識にのぼってくることがある。生活の洗練とは、ただ身の回りのモノを洗練することではなく、ふだん自覚されない、こうした環境感覚を研ぎ澄まし、それとの調和のなかでモノを選択することと言えるだろう。
環境感覚とモノの選択、それらが昇華した空間を 「エコロジー空間」 と呼んでみたい。そのたぐいまれな実例のひとつが 〈茶室〉 だ。
茶室には、 光や風、季節など、とりわけ自然のいとなみに着目し、身近な環境のあり方へと意識を鋭敏にさせる数々の「しかけ」がある。その一つひとつをあらためて体感しなおすこと。ともすると暗黙の約束事として語られることが多い茶室の構造を、感覚の原点を呼びさます装置として解体していくこと。それがこのシリーズのねらいです。
【 開講スケジュール・申込方法など 】
※時   間 : すべて13:00 – 16:00 / 料   金 : 無   料
日   程 テーマ 講   師 会   場 定   員 申   込
 第1回  終 了
   5月  2日(木)

茶室を創るI

樂吉左衛門
 総合地球環境学研究所
 講演室(矢印アクセス

100名

不要
 第2回  終 了
   5月  9日(木)

茶室と座

鞍田崇
 京都精華大学春秋館
 S-101 教室(矢印アクセス

100名

不要
 第3回  終 了
   5月16日(木)

茶室と景

六角美瑠
 京都精華大学春秋館
 S-101 教室(矢印アクセス

100名

不要
 第4回  終 了
   5月23日(木)

茶室と恋

岩井茂樹
 京都精華大学春秋館
 S-101 教室(矢印アクセス

100名

不要
 第5回  終 了
   5月30日(木)

茶室を創るII

藤森照信
 総合地球環境学研究所
 講演室(矢印アクセス

100名

不要
 第6回  終 了
   6月  6日(木)

茶室と光

木下史青
 京都精華大学春秋館
 S-101 教室(矢印アクセス

100名

不要
 第7回  終 了
   6月13日(木)
茶室と壁 森田一弥  大徳寺玉林院 10名
<申込方法>下記の問合せ先までお申込みください。
<締      切> 5月30日(木)
<問合せ・申し込み先>
 総合地球環境学研究所・鞍田(クラタ)
 e-mail:
 ※申込者多数の場合は、抽選の上、当選者には6月6日(木)までにお知らせ
    いたします。
【「エコロジー空間演習 2013」 概要 】
この公開講座は、京都精華大学建築学科の「エコロジー空間演習 (旧名 : エコロジー空間論)」 の一環として、2011年度にスタートしました。本講座のねらいは、いわゆるエコハウスに見られるような技術論に議論を限定するのではなく、より広い視点で現代社会における環境問題というフェーズを理解し、それをベースに、これからの建築像・都市像を描く素地を培うことにあります。2011年度は初年度でもあり、総論として 「エコロジー空間とは何か」 を問いました。2年目の2012年度は、テーマを 「風」 に限定して講義編成しました。2013年度は以下の2点に留意して、エコロジー空間の具体例として 〈茶室〉 に注目します。
1) 【茶室を扱うにあたって】 伝統的な茶の湯の約束事や、従来の建築史的な理解をふまえつつも、いたずれにそれにとらわれるのではなく、身体感覚と環境認識の相関性という視点から 〈茶室〉 がもつ可能性を探っていきます。
2) 【エコロジーを考えるにあたって】 従来の環境学では、自然破壊、環境劣化、温暖化や資源の枯渇など、ネガティヴで非日常な 〈問題〉 にフォーカスすることが多かったのに対し、ここでは、日常的な感覚を研ぎ澄まし、環境意識を高めることが、根本的な 〈問題〉 解決に不可欠であることを考えていきます。
【 コーディネーター 】
村松伸、鞍田崇、内藤大輔、林憲吾、六角美瑠
【 主   催 】
【 講師略歴 】
— 第1回「茶室を創るⅠ」 —
樂吉左衞門 RAKU Kichizaemon
陶芸家。1949年京都市生まれ。東京芸術大学彫刻科卒業後、イタリア留学をへて、十五代吉左衞門襲名。国際陶芸アカデミー、十備会(千家十職)会員。初代長次郎に端を発する“樂茶碗”に、利休が茶の湯に託した前衛性を見出し、その現代の姿を追求してきた。2004年佐川美術館「樂吉左衞門館」の建築設計創案・監修を行う(第17回「AACA賞」)。著書に『光悦と道入』、『定本 樂歴代』など。茶室関連の著作として、『茶室をつくった』、『茶碗と茶室』(共著)などがある。
— 第2回「茶室と座」/ コーディネーター —
鞍田崇 KURATA Takashi
哲学者。1970年生まれ。総合地球環境学研究所特任准教授。専門は哲学・環境思想。様々なジャンルを手がかりに、これからの暮らしのカタチを哲学的に検討するとともに、数多くのトークセッションを手がける。主な著作に、『〈民藝〉のレッスン』(編著)、『道具の足跡』(共著)、『雰囲気の美学』(共訳)など。
— 第3回「茶室と景」/ コーディネーター —
六角美瑠 ROKKAKU Miru
建築家。共立女子大・芝浦工業大学・京都造形大学非常勤講師。1977年東京生まれ。筑波大学芸術専門学群(建築デザイン)卒業の後、東京大学工学研究科博士課程満期修了。2003年より、株式会社六角工房ミルアトリエを主宰。主な作品として、景を織り込むことをコンセプトとした住宅「ORU」、浅間山を借景・框景・障景とした住宅「浅間観荘」など。建築空間における「景」をテーマとした設計活動とともに、「景」の操作に関する設計手法の研究に取り組んでいる。
— 第4回「茶室と恋」 —
岩井茂樹 IWAI Shigeki
日本文化学者。1969年奈良県生まれ。総合研究大学院大学博士後期課程修了。博士(学術)。タイ国チュラーロンコーン大学専任講師を経て、現在、大阪大学日本語日本文化教育センター(CJLC)准教授。茶の湯、能楽、邦楽、絵画、和歌など、いわゆる“伝統文化”の近代的編成に強い関心を持っている。最近は、近現代の「お稽古事」の変遷についての研究を行っている。著書として、『茶道と恋の関係史』、『恋歌の歴史』、『日本人の肖像-二宮金次郎』などがある。
— 第5回「茶室を創るII」 —
藤森照信 FUJIMORI Terunobu
建築家、建築史家。1946年長野県生まれ。東京大学建築学専攻博士課程修了。工学院大学教授、東京大学名誉教授。専門は日本近代建築史。91年より建築家としてデビュー、作品として「赤瀬川原平邸」、「熊本県立農業大学校学生寮」(日本建築学会賞:作品)など。「高過庵」「茶室徹」他、茶室建築も手がける。著書に『建築探偵の冒険・東京篇』、『明治の東京計画』『日本の近代建築』(日本建築学会賞:論文)、『Contemporary Teahouse』、『藤森照信の茶室学』など。
— 第6回「茶室と光」 —
木下史青 KINOSHITA Shisei
東京国立博物館デザイン室長。1965年東京都生まれ。東京藝術大学大学院環境造形デザイン専攻修了。㈱LPAを経て、1998年より日本初の博物館専属展示デザイナーとして、東京国立博物館の環境・展示・照明のデザインを手がける。主なデザインとして、『国宝 平等院展』、『若冲と江戸絵画展』、『国宝 薬師寺展』、『国宝 阿修羅展』など。著書に、『博物館へ行こう』(岩波ジュニア新書)、「光で見る展示デザイン」(光村図書出版・中学3年国語教科書)など。
— 第7回「茶室と壁」 —
森田一弥 MORITA Kazuya
建築家。1971年愛知県生まれ。京都大学工学部建築学科修士課程修了の後、京都で左官職人として修行、文化財建築物の修復に従事する。2000年より森田一弥建築設計事務所代表。07-08年バルセロナのEMBT Arquitectes associats に在籍、11-12年文化庁新進芸術家海外研修員としてバルセロナ建築大学に在籍。壁面意匠としての左官技術にとどまらず、構造的に自立する左官建築への関心を深め、スペインのレンガ積みボールト工法の研究を進める。著作に『京都土壁案内』(共著)など。
— コーディネーター —
村松伸 MURAMATSU Shin
総合地球環境学研究所(地球研)教授。1954年静岡県生まれ。専門は建築史・都市史。地球研メガ都市プロジェクトのリーダー。国際逆立ち学会会長、国際なかなか遺産推進委員会理事。主な著作に、『上海・都市と建築』、『中華中毒』、『象を飼う』、『シブヤ遺産』など。
内藤大輔 NAITO Daisuke
総合地球環境学研究所特任助教。1978年神奈川県生まれ。専門はポリティカル・エコロジー,東南アジア地域研究。市場メカニズムを利用した自然資源管理を研究している。主な著作に『熱帯アジアの人々と森林管理』(編著)、『ボルネオの〈里〉の環境学』(編著)など。
林憲吾 HAYASHI Kengo
総合地球環境学研究所プロジェクト研究員。1980年兵庫県生まれ。メガ都市プロジェクトメンバー。東南アジアの近代建築史を研究。2009年東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。2009年4月より現職。共著として、『千年持続学の構築』、『シブヤ遺産』など。
【問合せ】
鞍田 崇
(総合地球環境学研究所 特任准教授)


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