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第4回 ジャカルタ都市研究会 The 4th Jakarta Seminar
このたび、「メガシティが地球環境に及ぼすインパクト:そのメカニズム解明と未来可能性に向けた都市圏モデルの提案」プロジェクトでは、下記の通り、 第4回ジャカルタ都市研究会を実施いたします。
みなさま奮ってご参加いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
東南アジア経済は、19世紀以降に欧米の植民地として世界市場に組み込まれ、工業国にたいして第一次産品を供給した。しかし、第一次大戦で本国のヨーロッパが戦場になったこともあって、本国の首都からはるかに離れたところの東南アジアは、太平洋の東方のアメリカ合衆国との貿易依存を高め、あわせて、消費財が東アジアから輸入されるようになり、綿製品や雑貨など日本製品の輸入も増加した。一方、東南アジアにおいて多額の投資をうけたイギリス領とオランダ領は、本国以外の諸国に排他性を主張するものではなかった。多額の投資が、第一次産品の生産と輸出の増加、華僑と印僑の労働力の調達、送金の円滑につながった。本報告は、第一次世界大戦の衝撃を通して、東南アジア植民地の対本国経済関係の変容を、日本の経済的進出とかかわらせて議論するとともに、基軸通貨の「開放性」をとおして浸透した日本人の経済主体に注目し、インドネシア(旧蘭印)の都市に検討を加えたい。さらに、英蘭型東南アジア植民地経済における華僑ネットワークにも着目したい。依拠する主な資料は、『ジャガタラ閑話』であり、その中から『堤林数衛翁日記』を知った。堤林は、山形県新庄市出身で、台湾籍民とのネットワークを通して、物産取引にかかわる。南洋商会の社主として、その後に華南銀行・南洋倉庫の役員となり、日本人の東南アジア進出の拠点形成に重要な役割を果たした。
京都大学人文科学研究所教授(アジア経済史)。1986年一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。著書に『1930年代のアジア国際秩序』(渓水社、1999、共編著)、『岩波講座世界歴史19移動と移民−地域を結ぶダイナミズム』(岩波書店、1999、共著)、『アジア国際通商秩序と近代日本』(名古屋大学出版会、2000)、『帝国とアジア・ネットワーク―長期の19世紀』(世界思想社、2009、共編著)など。
ジャガタラ友の会編:『ジャガタラ閑話―蘭印時代法人の足跡』、増補改訂版、1978 加納啓良ほか:『岩波講座東南アジア史6―植民地経済の繁栄と凋落』、岩波書店、2001 籠谷直人、脇村孝平編:『帝国とアジア・ネットワーク―長期の19世紀』、世界思想社、2009
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