3年前の夏、地球研が中心となって「人はなぜ花を愛でるのか」というシンポジウムが開かれました。芸術、民族、植物、様々な分野の専門家があつまって、実に多様な議論が交わされました。書籍化もされて、これがなかなか面白い。でも、肝心なことが欠けているように思う
というのは、誰も自分のことを語っていない。正確に言えば、自分のことしか語れない、そういう人物がいない。だいたい「人はなぜ花を愛でるのか」なんて、まるで「私が好きかどうかはともかく、なぜみんな花が好きなの?」−なんだかそんな風にうそぶいているみたい。花を愛でる、それは、どこまでも個人的な事柄であるはずなのに。
環境問題をめぐる言説についても、似たようなことを感じます。「私が守りたいかどうかはともかく、みんなで地球を守らなければいけない」。問題が次々と指摘されて危機意識が煽られ、「エコ」を冠した情報や製品が着々と用意されていくけれど、核になる主体への問いかけはいつも抜け落ちたまま。私なんていうのは最初から視野の外に置かれるしかないのでしょうか。
好きだから好き。もしかしたら、それ以上語りようのないものなのかもしれません。でも、ひょっとしたら、彼なら何か言葉にしてくれるんじゃないか。そんな期待をこめて企画しました。
「俺はなぜ花を愛でるのか」−東信とともに切り込んでみたい。
みなさまのご参加、心よりお待ちしております。