第33回 地球研市民セミナーが開催されました


第33回市民セミナーは、最近ますます関心が集まっている「水」がテーマ。さらに、日本水フォーラム事務局長・財団法人リバーフロント整備センター理事長の竹村公太郎氏をゲストに迎えたことで、参加人者は170人超の「大入り」となりました。

今回のセミナーは3部構成で展開しました。まずは竹村氏による講演「世界の水、日本の水−21世紀の日本の役割」。「世界の水問題は日本の水問題である」という認識を基底として、世界の水問題、温暖化の影響、エネルギー問題など、幅広い話題が次つぎにテンポよく紹介され、竹村氏の想いがストレートに届いてきました。話は今後の日本の水管理のあり方にまで及び、「チーム水・日本」という、新たな取り組みについても、熱意をこめて紹介されました。

つづいて渡邉紹裕教授は、「〈水土〉の知を考える」というテーマで講演しました。渡邉教授は、水は食料生産や生態系だけでなく、健康や宗教といった幅広い分野にまたがる課題であることを紹介したあと、これからの水とのつきあい方として、「〈水土〉の知」の重要性を提唱しました。それは、たとえば〈水〉に着目していえば、「水の流れをよく観察し、徹底して永く活用し、状況が変われば巧みに対応する」というもので、渡邉教授によれば、「それぞれの地域に応じた『したたかで柔軟な水管理のありよう』を表現した言葉」とのことでした。

最後は、遠藤崇浩助教が中継するかたちで、参加者からの両氏への質疑がなされました。そこでは、海水の淡水化などの技術的な問題や、「チーム水・日本」の今後の活動、老朽化した水利施設の維持管理など、多彩な話題について議論が展開しました。

市民セミナーは字義どおり「市民を対象としたセミナー」ですが、今回は、研究者にとっても刺激的なものでした。今後の水研究の方向性について、システムとしての水処理技術、水利インフラの維持問題、水路を用いた小型発電システムなど、興味深い新たな視点が数多く示されました。

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写真左から、立本成文地球研所長挨拶、竹村公太郎 日本水フォーラム事務局長
・財団法人リバーフロント整備センター理事長、 渡邉紹裕・地球研教授


議論の様子(写真左)、会場の様子(写真右)