第30回地球研市民セミナーが開催されました


第30回地球研市民セミナー「里山・里海からSATOYAMA SATOUMIへ」が1月23日、ハートピア京都(京都市中京区)で開かれました。

今回の目的は、日本の里山・里海を次代の自然共生社会のモデルとして普遍化していく方向性をさぐるために、あらためてそれらの魅力と内実を明らかにすることにありました。セミナーは、あん・まくどなるど(国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット所長)と阿部健一(総合地球環境学研究所教授)によるプレゼンテーションと、司会の鞍田崇(総合地球環境学研究所研究員)を交えたパネルディスカッションによって構成されました。

里山や里海で暮らす「手で考える人たち」との出会いが、それらの保全活動に取り組むことになった一番の理由だという、まくどなるど氏は、里山・里海の意義は、生業に根ざした生活と自然との絶妙な関係性にあるとした上で、現在関わっている石川県の事例をあげながら、単なる景観保全的な発想の限界を指摘しました。

後半のディスカッションでは、里山・里海を守るということは、生業との関わりを充分に踏まえなくてはならないこと、その点で特に留意すべきは里山・里海が閉じたものではなく他地域・他業種との交易を介したオープンなシステムであることが浮き彫りにされました。京都の中心部を会場としたためか、フロアからの質問が、現代の都市部の生活との関わりをどう考えるのかという点に集中したのが印象的でもありました。

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写真左から、立本地球研所長の開会挨拶、あん・まくどなるど氏、阿部健一地球研教授


司会・鞍田崇地球研研究員(写真左)、議論の様子(写真中、写真右)