行事案内

第20回地球研市民セミナーが開催されました。

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 2007年9月21日に第20回地球研市民セミナーが開催されました。これまで20回を数えた地球研市民セミナーは今回より少し趣向を変えました。地球研所外のゲストと地球研の教職員の二人で、あるテーマについて討論を行い、参加者との質疑にも答えるという形式で、今年度後半は「『環境問題』のジョウシキを斬る」という大テーマを設定しました。これまでどおり、上賀茂の地球研で開催する市民セミナーは隔月にして開始時間を繰り上げ、新たに街の中心部でも隔月で市民セミナーを行うことにいたしました。

「鎮守の森は原始の照葉樹林の生き残りか?」

湯本貴和 (総合地球環境学研究所・教授)

 第20回地球研市民セミナーは、京都精華大学の小椋純一教授をゲストとしてお迎えし、地球研の湯本貴和を加えて「鎮守の森は原始の照葉樹林の生き残りか」というテーマで開催しました。約90名の方に聴衆として御来所いただきました。午後3時から開始したこともあって、女性の参加者が目立ちました。

  まず、湯本が照葉樹林とは何かという概説を行いました。約2万年前の最終氷期最盛期には南九州と紀伊半島、伊豆半島、房総半島の南端にまで縮退したシイ、カシ、ツバキなどの常緑広葉樹林(照葉樹林)は、縄文時代までに西南日本一円に分布を拡げましたが、弥生時代以降、農地の拡大によって分断化され、現在では原生林と呼べるものは屋久島、対馬のような離島や、奈良の春日山のような特殊な場所にしか残存していないことを述べました。そのあと、小椋教授が、古絵図や古写真に現れた社叢と現在の姿を比較して、京都を中心とした多数の神社を例にとり、江戸時代から明治・大正時代には多くの社叢はマツやスギの針葉樹が主であって、常緑広葉樹はほとんどみられず、現在のクスノキやシイの林はかなり新しいことを示されました。そのあと会場からの活発な質問もあり、鎮守の森とはなにか、あるいは日本人の森への接し方はどうだったかなどについて、議論を行いました。

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小椋純一教授(写真左) 対談の様子(写真中) 秋道智彌副所長による開会挨拶(写真右)

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