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第一回 国際シンポジウム 〜水と未来可能性〜

 地球研は創立以来5年が経過し、その第1期プロジェクトが終了の時期を迎えようとしています。この第1期5年の研究所としての研究成果を広く世界の研究者に発信するため、来る11月7日、8日の予定で国際シンポジウム「水と人間生活」を開催します。これにあわせ、前日の11月6日に、公開講演会「水と未来可能性」を開催し、その成果の一部を広く一般に公開することにしました。今世界中で水をめぐる問題がわき起こり、人類共通の地球環境問題として位置づけられるようになっています。公開講演会では、ユネスコのゴードン・ヤング博士に世界の水問題を紹介していただいたあと、地球研所長の日高敏隆博士に「未来可能性」ついて講演いただきます。なお会は、今まで地球研の研究に接したことのなかった方々にも研究所やその成果を知ってほしいと考え、長岡京室内アンサンブルによる音楽と講演会を織り交ぜるという、新たな試みの場としたいと考えています。長岡京室内アンサンブルを主宰する森悠子さんは、音楽に「環境」を考えるメッセージを込めたいと以前から言っておられます。司会はNHKアナウンサー松平定知氏にお願いしました。


期間:2006(平成18)年11月6日〜8日
開催場所:国立京都国際会館アネックスホール(6日の公開講演会はイベントホール)
言語:講演は同時通訳あり。討論は英語。
主な招待参加者

日程 時 間 内 容
6日 13:30-16:45 一般公開講演:「水と未来可能性」
・日高所長(地球研)「未来可能性とは何か」
・Gordon Young (UNESCO):「淡水資源の危機」 (同時通訳付き)
司会:松平定知(NHK)演奏:長岡京室内アンサンブル
7日
10:30-17:30
9:00-10:30

オープニングセレモニー
来賓挨拶:梅原 猛稲盛和夫
地球研所長:日高敏隆
実行委員長:佐藤洋一郎

第1セッション 水のアンバランス (コンビナー:谷口真人・斉藤清明)
 湿潤地域の”too much water(過剰水)”は、洪水・台風など、水が豊富すぎることによる様々な自然災害を引き起こしている半面、豊富な水は湿潤地域に住む生物・人を物心両面で養い、社会の持続性に貢献してきた。一方、4大文明の発祥の地でもある現在の乾燥地域では逆に”too little water(過少水)”が大きな問題であり、いかに水を確保するかが社会の持続性にとって最重要課題である。気候変動・人為的行為による水分布の時間的変動は、文明の盛衰にも大きく関係しているとも言われている。一方、近年著しく増大した人間活動による水のアンバランスは、空間的にも大きく現れている。ボトル水や農作物・畜産物などの輸出入に伴う仮想の水移動・バーチャルウォーターは、水資源の少ない地域から水資源の多い地域への水移動をもたらしており、自然の流域界を超えた水の移動が大きな問題になっている。この様に、様々な人間活動が地球上のいろいろな場所で水資源のアンバランスをもたらしてきている。社会の持続性を「水」の観点から捉えなおし、経済市場原理のみに基づく行き過ぎた水のコントロールから、気候帯や風土に応じた賢明な水利用、人間安全の観点からの水管理への転換を提言する。

10:30-10:55 乾燥社会の持続性 Jiftah Ben-Asher
10:55-11:20 湿潤社会の持続性 秋道智彌
11:20-11:45 気候変動による水循環変動 Richard Lawford
11:45-12:10 自然―人間系の水循環変動 早坂忠裕
(12:10-13:30) 昼休み
13:30-13:55 バーチャルウォーター 鼎信次郎
13:55-14:20 人間活動による水環境変化 Ian White
14:20-14:45 人間保障と多様性の観点から見た水環境管理 Caroline Sullivan
14:45-15:10 気候帯に応じた水の利用 Malin Falkenmark
15:10-15:35 人間自然共存のための風土に応じた賢明な水利用と生き方 渡邉紹裕
16:00-16:30 コメント
16:30-17:30

総合討論

8日

第2セッション:水をめぐる人間と自然の相互作用環
(コンビナー: 渡邉紹裕、 佐藤洋一郎、中野孝教)
 農業生産の向上のため人類はダム、灌漑水路などのインフラを整備しいわゆる「工学的対応」によって水資源を管理し利用してきた。しかし工学的対応は予測もしなかったところに副次的な影響を及ぼしさらに深刻な問題を人類に投げかけた。それは更なる水不足と水争い、土壌表面への塩類集積や砂漠化などの問題である。このセッションでは、農業を中心とした「工学的対応」に基づく水の利用とそれによって生じた副次的問題を「人間と自然の相互作用環」と位置づけ、何が起こっているか(起こってきたか)を明らかにするとともに、水の賢明な使途やそれを支える賢明な生き方、水に対する考え方の議論を展開してみたい。

10:00-10:30 オアシスと水資源の思わぬ悪循環 中尾正義
10:30-11:00 階層性に着目した琵琶湖の農業濁水問題への取り組み 谷内茂雄
11:00-11:30 Groundwater problems by human and climate-induced stresses in High Plain Aquifer Jason Gurdak (USGS)
11:30-12:00 Learning and unlearning in water resources management history in South Asia Peter Mollinga (Senior Researcher, 'Natural Resources and Social Dynamics'/ Covenor, SaciWATERs)
12:00-13:30 昼休み
13:30-13:55 黄河流域の水資源管理〜現状と方向 福嶌義宏
13:55-14:20 巨大魚付林-陸と海を結ぶ水・物質・人間文化の相互作用環 白岩孝行
14:20-14:35 Louis Legendre (CNRS Research Professor Director, Villefranche Oceanography Laboratory, France)
14:35-15:00 Someone from Asia: How can we turn traditional/indigenous knowledge to sustainable/maintainable human-nature interaction?
15:00-15:30 休憩
15:30-16:30 Discussion for breaking vicious circle of human-nature interaction
16:30-17:00 Closing Session of the Symposium
セッション1の要約 谷口真人・斉藤清明
セッション2の要約 渡邉紹裕、佐藤洋一郎、中野孝教
シンポジウムのまとめ 佐藤洋一郎
挨拶 日高敏隆

  【主催】
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 総合地球環境学研究所
【後援】
文部科学省・京都府・京都市・NHK・UNESCO・IHDP・MSH(予定含む)
【協賛】
未定

【参加対象者】
収容人数には十分余裕がありますが、一般参加者は事前申込みをしてください。また、プロジェクト関係者はプロジェクトリーダーを通して申し込んでください。一般参加者は総合地球環境学研究所研究協力課国際交流係に申し込んでください。
こちらから

【メディアの取材について】
取材は歓迎します。事前に総合地球環境学研究所研究協力課国際交流係に申し込んでください。 こちらから

【国立京都国際会館への交通について】
国立京都国際会館のホームページを参照下さい。
⇒http://www.kich.or.jp/jp/

【シンポジウム情報】
決まったことはホームページ上で順次公表します。
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