第8回 地球研フォーラム
「よく生きるための環境−エコヘルスをデザインする−」
が開催されました


今回のフォーラムは、「インドネシア、ボルネオ、モンゴル、太平洋の島々、アフリカでの人びとの暮らしを通じて『環境と健康の繋がり』について考えよう」というのが開催テーマでした。門司和彦教授は趣旨説明で、地球環境問題の解決には世界の人びとの長期的で健康な生存を可能にする環境を構築することが重要であるとし、環境と健康の繋がりを重視するエコヘルスについて説明しました。鈴木庄亮・群馬大学名誉教授は、日本とジャワ島が抱える健康問題の違いを例にあげ、食・暮らし方・生活習慣が健康を決定づける重要要因だとし、長期的に望ましい自然・社会環境を考えていくことが必要であると提言しました。

山村則男教授は、モンゴル草原やボルネオ熱帯林での自然生態系に依存する住民の暮らしを紹介し、近年はこれらの地域にもグローバル経済が影響を及ぼしていることから、自然環境と調和した持続的生活について考える必要性を提起。梅津千恵子准教授は、サブサハラ・アフリカにおける生態系に依存した暮らしの環境変動に対する脆弱性と、環境資源の人間活動に対する脆弱性を指摘し、この地域の自給的農村地域においては環境・生態システムのレジリアンスの保全・強化が重要な課題だと指摘しました。一盛和世・世界保健機構NTD対策部門科学官・愛知医科大学客員教授は、自然環境に依存するフィラリア症伝播の仕組みを説明し、太平洋島嶼国における健康問題の変遷を通じて、生物自然的環境− 病気と、社会生活的環境− 病気との関連性を論じました。

パネルディスカッションでは、世界の諸地域に住む人びとのエコヘルスを研究する意義について議論。それぞれの地域で暮らす人びとのエコヘルスを研究するには、まずはその地域の環境と人間のかかわりをよく観察することが不可欠で、地球環境問題の解決には、そうした地道な研究活動の積み重ねと、地域の問題を地球規模の問題と関連づけて考える統合的視点が不可欠であることが確認されました。

 矢印 第8回 地球研フォーラム 開催案内

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立本所長による挨拶、門司和彦 地球研教授、鈴木庄亮 群馬大学名誉教授 (写真左から)


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山村則男 地球研教授、梅津千恵子 地球研准教授、
一盛和世 世界保健機構NTD対策部門科学官 愛知医科大学客員教授 (写真左から)


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議論の様子、会場の様子 (写真左から)