第4回地球研フォーラム

断ち切られる水

2005年7月9日(土) 国立京都国際会館

13:30〜17:00(13:00開場)
京都市左京区宝ヶ池、地下鉄「国際会館」下車)

■第1部:講演

「水と緑のシルクロード」 井上隆史・地球研客員教授
(NHKエグゼクティブ・プロデューサー)
「オアシスの水が涸れる日」 中尾正義・地球研教授

■第2部:パネルディスカッション

司会/
鼎信次郎・地球研助教授
話題提供/
中野孝教・地球研教授「水が断ち切られるとミネラルは?」
内山純蔵・地球研助教授「'心の水’が断ち切られると」
パネリスト/
井上隆史、中尾正義、中野孝教、内山純蔵

演者紹介

井上隆史
中尾正義
中野孝教
内山純蔵
鼎信次郎
国内客員教授
NHKスペシャル番組センター エグゼクティブ・プロデューサー
研究部教授
バックグラウンド:
氷河気候学
雪氷水門学
研究部教授
バックグラウンド:
資源環境地質学
同位体地球科学
研究部助教授
バックグラウンド:
先史人類学
動物考古学
研究部助教授
バックグラウンド:
土木工学
水文学
気象学

3000年以上前の大量の白人ミイラが眠っていた楼蘭・小河墓遺跡。棺や墓標に使われた夥しい数の胡楊の木や副葬品の小麦などが、この遺跡の辺りはかつて河が流れ、緑のオアシスが広がっていたことを示唆する。またホータンの郊外に広がる不毛の砂漠地帯から次々と発見される寺院の遺跡は、一帯に崑崙の山から流れ出る河が潤すオアシスが続く緑の環境を想起させる。水と緑はなぜ失われたのか。シルクロードの古代環境を考察する。

ユーラシア大陸の中央部は、かつては歴史の表舞台であった。名だたる遊牧帝国が交錯し、農業を主とする中華帝国と抗争や融和を繰り返してきた広大な乾燥地域である。わずかの降水しかない同地域では、氷河や多量の降水がある山岳地からの河川水や地下水が最も得やすいオアシスに多くの人々が住み着いてきた。
オアシスの水にも、気候変動や人の営みに起因する栄枯盛衰がある。オアシスの水が涸れた昔とオアシスの水が涸れつつある今を語る。

砂漠化は、水に溶けているミネラルを塩類集積化鉱物として析出させ農業活動を不毛にする。中国-モンゴルの砂漠地帯から発生する砂塵(黄砂)は、オアシスを廃墟にさせるだけでなく、北京をはじめとする中国や韓国の各地で社会問題を引き起こしている。その一方で黄砂は酸性雨を中和させる役割があり、それに含まれるミネラルは強い偏西風にのって日本や北太平洋の生物活動にも大きな影響を与えている。今回は、砂塵に含まれているミネラルから地球環境問題を探ってみる。

だれでも、どこでも、いつでも、いくらでも。近代は、あらゆる資源を人間一人一人が平等に自由に手にすることができる社会を目指しました。水はその代表です。一方、歴史を通じて人間は水に単なる水を越えるさまざまな意味を与え、いわば’心の水’として、生活と文化のなかで生かしてきました。近代化によって、水が単なる資源だけの意味しか持たなくなってしまった今日、人と水の長い関係はどう変わり、また、未来は、どうなっていくのでしょうか。今回は、’心の水’が断ち切られつつある今日の風潮が、人間の生活にどんな影響を及ぼしていくのかを考えます。

水の問題は多面的であり、あちらを立てればこちらが立たず、あちらを止めればこちらが溢れるというような問題ばかりで、「オゾン層破壊」などのような敵がはっきりしている地球環境問題とは性質を異にしています。そのため解決策を示すことはたやすくありませんが、皆さんが何らかの新たな視点や指針を得られるような場にしたいと考えています。フロアからのご質問、お待ちしております。

参加登録・お問い合わせ

E−mail、ファックス、ハガキにて氏名,所属,連絡先を明記の上、7月4日(月)までに第4回地球研フォーラム事務局宛 お申し込みください。参加は無料です。
総合地球環境学研究所研究協力課内第4回地球研フォーラム事務局
〒602−0878京都市上京区高島町335
TEL:075−229−6130 FAX:075−229−6150 E−mail:forum@chikyu.ac.jp
※事前に登録された方は、当日、事前登録受付にお越しください。7月5日以降は当日受付になります。
 参加人数多数の場合は、当日受付の方は立ち見になることがありますので、その旨ご了承ください。

主催:地球研(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)

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