第5回地球研地域セミナー
(琉球大学観光産業科学部共同企画)
が開催されました


地域の生物と文化の多様性をいかに発展的に継承するかという問題は、総合地球環境学研究所の大きな課題のひとつです。気候風土に適したように長い時間をかけて培われた文化と、その基盤となる生物相や生態系を持続的に利用する知恵は、環境負荷が小さく、しかし豊かな生活を実現するための重要なヒントが含まれているからです。亜熱帯気候に属する琉球列島は、日本列島のなかでも特異な文化と歴史をもつ地域です。今回の第5回地域セミナーでは、琉球大学観光産業科学部と共同企画のもとで、沖縄島北部の「やんばる」とよばれる地域に焦点を当てて、かつての人と自然の関わりを学び、地域社会の持続的な発展に結びつけるためにどのような観光が有効であるかを議論する場にしました。

2月13日は名護市民会館で約120名の参加者を前に、立本成文所長の挨拶のあと、湯本貴和・地球研教授の「生物と文化の多様性はなぜ必要か」、仲原弘哲・今帰仁村歴史文化センター館長の「やんばるのムラの生活−人と自然の関わり」、水嶋智・観光庁観光資源課長の「地域の自律観光とニューツーリズムの活用」という、今回のテーマに関する総論となる講演がありました

2月14日は前日の総論を受けて、午前は国頭村比地区で「地元ガイドによる着地型観光の試み」として10名の区民がガイドとなり、約110名の参加者を5班にわけてムラ歩きを体験してもらい、お昼休みには地元の食材で作ったお弁当を堪能しました。午後からは比地公民館で、井上典子・文化庁文化財調査官の「文化としての景観とその活用」、早石周平・琉球大学非常勤講師の「よみがえる村々の姿と暮らし−高精度空中写真との出会い」の講演のあと、安渓遊地・山口県立大学教授をコーディネータとして、地元の島袋正敏氏(やんばるものつくり塾主宰)と久高将和氏(NPO法人国頭ツーリズム協会顧問)に加えて、花井正光・琉球大学教授と湯本貴和・地球研教授でパネルディスカッション「やんばるの観光にいかす人と自然の関係性」を1時間にわたって行いました。会場には、1945年に撮影された高精度空中写真とむかしの比地近辺の写真がパネル展示されて、「やんばる」のかつての暮らしについて、あちこちで語り合う光景がみられました。

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写真左から、花井正光・琉球大学観光産業科学部教授挨拶、立本成文・地球研所長の挨拶、湯本貴和・地球研教授


写真左から、仲原弘哲・今帰仁村歴史文化センター館長、水嶋 智・観光庁観光資源課長の講演の様子、会場の様子


宮城 馨・国頭村長の挨拶(写真左)、ムラ歩きの様子(写真中、写真右)


お弁当作りの様子(写真左)、地元の食材を使ったお弁当(写真中)、パネル展示(写真右)


パネル展示の様子(写真左)、早石周平・琉球大学非常勤講師(写真中)、パネルディスカッション(写真右)


会場の様子