第4回地球研地域セミナーが開催されました

第4回地球研地域セミナーが11月8日(土)に大阪府立弥生文化博物館で開催されました。(財)大阪府文化財センターとの共催である今回のテーマは『災害と「しのぎの技」−池島・福万寺遺跡が語る農業と環境の関係史−』で、参加者は約100名でした。

同セミナーは、地球研の研究プロジェクト(プロジェクトリーダー:佐藤洋一郎副所長・教授)が中心となって(財)大阪府文化財センターと共同で実施してきた「池島・福万寺遺跡」での調査の中間まとめとして、発掘された遺物を学際的な視点から分析し、人々は被った災害をいかに克服してきたか、その「しのぎの技」の一端を解き明かそうという主旨で開催されました。

最初に、地球研の立本成文所長が開会の挨拶を行い、続いて、第1部『考古学からみる災害の爪痕』では、考古学の立場から、考古遺跡に残る「洪水痕跡」の実態や弥生時代における水田立地・水田域変遷と河川活動の関係などの紹介がありました。第2部『自然科学分析からみる災害としのぎの技』では、研究プロジェクトメンバー等によるパネルディスカッションが行われました。河内平野の水利対策として、1704年に大和川が開かれて300年。流域に住んだ人々の水害とのたたかいの歴史や、人々が水害をどう乗り越え生活を続けてきたかについて、意見が交わされました。これを受けて地球研の佐藤洋一郎副所長・教授は、「被災は将来も完全に防ぐことはできない。過去の人びとが被災後立ち直るためにどういうことをしてきたのかを考えることが重要で、それには地球研でやっているような学際研究が重要」としめくくりました。

最後に、金光正裕・(財)大阪府文化財センター池島支所長が、「さまざまな専門分野の研究者が集い、過去を深く研究し、将来に備えることがこれからの文化行政のつとめ」と抱負を語りました。

※詳細(チラシ・プログラム)はこちら( PDF )です。

 

地球研 立本成文所長による開会の挨拶


パネルディスカッションの総括をする
地球研 佐藤洋一郎副所長・教授

パネルディスカッションの様子