地球研和文学術叢書

地球研の研究成果を研究者に向けて発信する出版物です。

レジリエンス人類史

推薦
私が温暖化について予見したのは1960~70年代,国際社会でそれが取り上げられたのは90年代です。しかし以来30年経っても解決の道は見えません。科学の知見だけでは社会は動かないことを痛感します。なぜ社会は変わらないのか,変わるには何が必要か。この本は,人類史に埋め込まれたヒトの共感力や適応力が,うまく発揮されるときもあればされないときもある,その理由を明らかにしてくれます。自然科学から人文学までの総合知と過去の叡智を本書から学ぶことで,「転換する力」を今こそ発揮しようではありませんか。

眞鍋淑郎 氏
(地球科学者 2021年ノーベル物理学賞受賞・2010年第1回KYOTO地球環境の殿堂入り者)

  • 稲村 哲也・山極 壽一・清水 展・阿部 健一 編
  • 出版社 京都大学学術出版会 2022年3月
  • A5並製・520頁 価格2,500円+税
  • ISBN: 978-4-8140-0401-0

No Life, No Forest
熱帯林の「価値命題」を暮らしから問う

「熱帯林問題」がリオ・サミットの最重要課題となって以来、数多くのプロジェクトが立ち上がり、誰もが真摯に問題に取り組んできました。にもかかわらず熱帯林は減少し続け、地域によっては、この間に熱帯林の消失が加速されたところすら。それは何故か? 森の民に寄り添ってきた若い研究者たちが「“生活なき”森林保護」の枠組みをラディカルに問い直し、そこに暮らし関わる人々の姿から、「森の価値」と、新しい人と森との関係を提案します。

  • 阿部 健一・柳澤 雅之 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2021年3月
  • A5上製・290頁 3,600円+税
  • ISBN: 978-481400-3341

人新世を問う
――環境、人文、アジアの視点

「人新世」――それは、現代が、人間が地球環境を”支配”する時代であることを科学的に示す語でありメタファー。本書はそれを、アジアと人文の視点から再考します。

「レジーム/ガバナンス」、「感性/実践」、「言説」、「知識システム」をキーワードに、アジアの経済発展や植民地化や近代化の歴史社会のあり方、豊かな自然とともに作り上げてきた人々の暮らし、文化、経験、自然観と人新世の関係を問い、オルタナティブはどう構想されるかを問います。

また、本書は、概念としての人新世の形成とその特質についても詳細に解説。科学の巨大国際ネットワークの形成と人新世概念の形成について明らかにするとともに、従来あまり知られていなかった、地球科学を中心とした日本の科学界や日本学術会議の人新世概念形成へのコミットメントも明らかにします。

さらに、本書は、関係者への調査により人新世概念の誕生の詳細な日時と場所も特定。従来はっきりとは明らかになっていなかった人新世概念が生まれた日付と地点を、世界で初めて活字化しました。

編著者の寺田は地球研客員准教授、ナイルズは地球研准教授。

  • 寺田 匡宏、ダニエル・ナイルズ 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2021年3月
  • A5上製・500頁 5,700円+税
  • ISBN: 978-4-81400-317-4

環境人間学と地域
流域ガバナンス
地域の「しあわせ」と流域の「健全性」

上流から下流までの地域住民の暮らしから流域全体の栄養循環に至るまで、ミクロからマクロにひろがる流域の連関を丹念に追い、流域ガバナンスのあり方を明らかにする。琵琶湖・野洲川と、急速な開発途上にあり環境問題が深刻化しつつあるフィリピン・ラグナ湖のシラン・サンタローサ流域との比較から、世界の流域でも展開できる人と生態系の相互作用解明のためのアプローチを明かす。

  • 脇田 健一・谷内 茂雄・奥田 昇 編
  • 出版社 京都大学学術出版会 2020年12月
  • A5上製・470頁 5,400円+税
  • ISBN: 978-4-81400-303-7

環境人間学と地域
東ヒマラヤ 都市なき豊かさの文明

アジアの高地は、中国やインドの低地からの文明干渉に対抗し、取り入れるべきものは取り入れながら高地の風土に応じた生業を発展させる一方で、独自の社会文化を築いています。高所特有の環境に移動し適応してきた人々の、自然利用と精神世界の特徴をあぶり出し、そこに「文明」と呼びうる制度を見ます。世界の高地社会研究に資するとともに、あまたある文明論に一石を投じ、温帯・低地世界中心の文明観の問題点に鋭く迫る書です。

  • 安藤 和雄 編
  • 出版社 京都大学学術出版会 2020年3月
  • A5上製 540頁 価格6,400円+税
  • ISBN: 978-4-81400-273-3

環境人間学と地域
ユネスコエコパーク 地域の実践が育てる自然保護

単なる自然の保全ではなく、人間の生きた生活の上に成り立つ自然保護を目指すユネスコエコパーク。その制度的特徴とさまざまな現場の実践から、持続可能な未来に向かう社会転換プロセスのあり方を考える。

  • 松田 裕之・佐藤 哲・湯本 貴和 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2019年3月
  • A5上製 350頁 価格4,400円+税
  • ISBN: 978-4-8140-0205-4

環境人間学と地域
交錯する世界 自然と文化の脱構築
フィリップ・デスコラとの対話

環境と人間、自然と文化のとらえ方に蔓延した二元的な対立構図を打ち破るものは何か。「自然は人間に復讐するか」「自然は人間の友達か」「自然は主体性をもつか」「自然は境界を超えるか」という四つの問題提起に、人類学、哲学、美学、心理学、思想史、社会学、コモンズ論をはじめとする多様な人文・社会学の領域から取り組む。

  • 秋道智彌 編
  • フィリップ・デスコラ 寄稿
  • 出版社 京都大学学術出版会 2018年3月
  • A5上製・423頁 価格4,900円+税
  • ISBN: 978-4-8140-0147-7

環境人間学と地域
カタストロフと時間
記憶/語りと歴史の生成

大災害は人の日常を一変させ、世界の秩序を崩壊させる。こうした極限状態(カタストロフ)に直面した人は、その出来事をどのように受け止め、記憶し、記録してゆくのだろうか。震災や戦争、原発事故などを例に、博物館や語り、モニュメントや場といったかたちを介してカタストロフが時間を渡っていくさまを描き出す。

  • 寺田匡宏 著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2018年3月
  • A5上製・888頁 価格9,200円+税
  • ISBN: 978-4-8140-0151-4

環境人間学と地域
「ほっとけない」からの自然再生学 コウノトリ野生復帰の現場

2005年9月、絶滅から34年の時を経て、コウノトリが再び人里に舞い降りた。「里の鳥」コウノトリの野生復帰は、地域の人びとと自然との間にどのような関係の変化をもたらしたのか。生態学的観点からの自然再生にとどまらず、人と自然の関わりを創り直す包括的再生を目指したコウノトリの野生復帰の取り組みを、当事者の視点から振り返る。

    【目次】

  1. はじめに
  2. 序章 自然をほっとけない
  3. 第一章 コウノトリを野生復帰する
  4. 第二章 包括的に再生する
  5. 第三章 コウノトリを「ツル」と呼ぶ
  6. 第四章 コウノトリを地域資源とする
  7. 第五章 「野生」を問い直す
  8. 第六章 小さな自然を再生する
  9. 第七章 レジデント型研究者として生きる
  10. 終章 はざまをつなぐ
  • 菊地 直樹 著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2017年3月
  • A5上製・310頁 価格3,400円+税
  • ISBN: 978-4-8140-0082-1

*2017年6月4日(日)付 読売新聞(朝刊)に掲載されました。

環境人間学と地域
理想の住まい 隠遁から殺風景へ

自動車社会の到来とともに、都市の人々はこぞって郊外に家を求め、今や地球環境を脅かす問題を引き起こしている。人はなぜそれほどまでに郊外脱出を望んだのか? その根源には『桃花源記』に遡る隠遁への憧れがあった——。東西の古典・近代思想を縦横に逍遙し、近代郊外住宅の理想が現れた過程と人間の存在基盤への影響を浮彫りにする。「KYOTO地球環境の殿堂」第8回殿堂入りを果たしたオギュスタン・ベルク氏による都市論の集大成。

  • オギュスタン・ベルク著/鳥海基樹 訳
  • 出版社 京都大学学術出版会 2017年1月
  • A5上製・470頁・ 6,000円 + 税
  • ISBN: 978-4-8140-0051-7

環境人間学と地域
シークヮーサーの知恵 奥・やんばるの「コトバ-暮らし-生きもの環」

やんばる・奥の果樹園のシークヮーサーには驚くべき多様性が見られる。その背景には、異なる形質の果実に名前をつけ、意図的に維持してきた地域の人々の営みがあった。土地の「コトバ」、人々の「暮らし」、それを取り巻く「生きもの」の強固な連関を軸に、文化と自然が密に交感しながら多様性を育む様を明らかにするとともに、消滅危機に瀕する地域言語の継承問題にも焦点を当てる。

  • 大西正幸・宮城邦昌 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2016年3月
  • A5上製・570頁・ 6,600円 + 税
  • ISBN: 978-4-8140-0025-8

環境人間学と地域
シベリア 温暖化する極北の水環境と社会

  • 檜山哲哉・藤原潤子 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2015年3月
  • A5上製・512頁・ 6,500円 + 税
  • ISBN: 978-4-87698-315-5

環境人間学と地域
インダス 南アジア基層世界を探る

  • 長田 俊樹 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2013年10月
  • A5上製・476頁・ 5,500円 + 税
  • ISBN: 978-4-87698-300-1

環境人間学と地域
モンゴル 草原生態系ネットワークの崩壊と再生

  • 藤田 昇、加藤 聡史、草野 栄一、幸田 良介 編著
  • 出版社 京都大学学術出版会 2013年10月
  • A5上製・656頁・6,800円 + 税
  • ISBN: 978-4-87698-299-8
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