2019年4月17日(水)、総合地球環境学研究所(安成哲三 所長、以下「地球研」という)と山梨県忍野村(天野多喜雄 村長)は、同村における地域の活性化と地球研における地球環境研究の充実を目的として学術協定を締結しました。調印式は、地球研で執り行われ、安成哲三所長と天野多喜雄村長が署名を交わしました。
地球研がこれまでに忍野村で行ってきた村内の地下水流動観測、同位体環境学の手法を用いた水質調査などを継続して行なうことにより、持続可能かつ適切な地下水利用につなげることができると期待されます。
また、地下水調査以外にも、地球研が国内外の国・地域で行政や社会と連携して行った研究成果等を踏まえ、忍野村の環境問題への対応、地域産業や地域文化の振興など、環境、産業、教育文化、学術等について相互に協力し、地域の発展や人材の育成、持続可能な地域づくりに寄与することを目的としています。
学術協定を交わす忍野村天野村長(左)と地球研安成所長
(参考:同位体環境学とは)
水、大気、生物、土壌など生態系を構成する種々の要素のなかには、元素の安定同位体比という情報が内在しており、あらゆる物質は、ひそかに痕跡を残しながら環境を循環しています。安定同位体比がもつ情報を追跡していくと、さまざまな地域や時間のスケールを対象とする地球環境問題の解決に資する研究ができます。
地球研では、これらの研究を「同位体環境学」とよび、各地の研究者との共同研究を行っています。
忍野村では、安定同位体比を用いて地下水流動や地下水の涵養域などを調べ、湧水や地下水水害対策等を実施するための情報を収集しています。