総合地球環境学研究所と統計数理研究所が 「人文学・社会科学を含む学術の研究力評価に関する共同研究」の実施を目的とした研究IRに関するMOUを締結しました。
今後は研究および人材の交流を重ねて、学際研究の評価指標の開発と利活用を推進していきます。
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 総合地球環境学研究所（所在地：京都府京都市、安成 哲三所長、以下地球研という。）と大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 統計数理研究所（所在地：東京都立川市、椿 広計所長、以下統数研という。）は、研究IRに関するMemorandum of Understanding（MOU）を2019年3月に締結しました。
また、2019年4月12日（金）、情報・システム研究機構にて、両所長や関係者らで今後の連携についての意見交換が行われました。
近年、大学共同利用機関などの国内の研究機関においても、意思決定や戦略策定に活かせるようなIR（Institutional Research）の取り組みが盛んになっています。特に人文学・社会科学のように研究の在り方や成果の表現方法が多様な研究活動をどう測るのかについては、異なる特性をもつ研究分野、機関間の連携がますます重要になっています（*1）。
地球研では、諸分野で個別に取り組まれている研究を鳥瞰し、環境問題の本質を解明するとともに、人間と自然の関係のあり方を統合的に提示することを目指す中で、設立当初から文理融合を中心にした「学際研究」や、研究者と社会の直接の連携に根ざした「超学際研究」を特色とする、課題解決型の研究に取り組んできました（*2）。2016年からIR室の活動を開始し、地球研の特徴のひとつである「文理融合の学際研究プロジェクト」をいかに評価するか検討を行っています。その中で、「総合地球環境学の研究評価のための評価マトリクス」を用いた地球研独自の評価システムの構築の検討や、日本の戦略的研究課題（JSRA）の抽出（JST/RISTEX）を通じた公募テーマ選定等にも取り組んでいます。
統数研では、公募型共同利用の重点テーマ「IRのための学術文献データ分析と統計的モデル研究の深化」を通して、従来指標では捉えられない共同利用・共同研究の成果や異分野融合の進展状況を可視化する指標を開発しており、研究IRのための書誌グラフデータベースなどの分析環境を開発・提供し、図書資源や計算機などの共同利用資源の利活用を支援しています（*3）。
地球研は2001年の創設以来、自然科学に限らず人文学・社会科学といった多分野にわたる専門性を持つ3000名以上の共同研究者とともに、30件を超える大型学際研究プロジェクトを推進してきました。これら多くの文理融合型研究の経験と、数値による評価を不得手とする人社系研究の側面を備えた多様な形態による研究業績が蓄積する中で、これまでとは異なる視点からの新たな評価指標による評価の導入が求められていました。
一方で統数研では、大学・研究機関における研究戦略への情報提供を目的とする「研究IR」の方法論について統計学的見地からの確立を目指し、特に「異分野融合の進展や効果を公正かつ適切に評価するための新指標の研究開発」を行ってきました。
このような背景から、両研究所では昨年度から合同のワークショップなどで研究IRに関する交流を重ね、互いの強みを生かす方法を模索してきました。そして今回、「人文学・社会科学を含む学術の研究力評価に関する共同研究」を行うことを目的としたMOUの締結に至りました。今後は、
- ・研究IR、研究力分析、評価指標に関する研究
- ・学際研究、異分野融合の研究力評価に関する研究
また以下の日程でMOUを記念したキックオフ集会を開催します。
「地球研・統数研共同研究キックオフシンポジウム「研究力評価にむけた様々な指標つくり：
人文学指標・学際研究指標・超学際研究指標・共同利用/共同研究指標」」
会場：総合地球環境学研究所
日時：2019年5月22日（水）14:00-17:00
署名されたMOUを取り交わす
安成所長（左）と椿所長（右）
関係者による記念撮影
本件に関するお問い合わせ先
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 運営企画本部 企画室URAステーション
TEL：050-5533-8500（代表） E-mail：
〒190-8562 東京都立川市緑町10-3
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 IR室
TEL：075-707-2100（代表） E-mail：
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4
