2019年1月8日、地球研・嶋田奈穂子研究員が第2回高谷好一地域学賞 最優秀賞を受賞しました。
「高谷好一地域学賞」は、京都大学東南アジア研究センター(現・東南アジア地域研究研究所)教授などを務め、2016年3月にインドネシアで調査中に急逝した地域学者高谷好一先生の業績を顕彰するために創設されたものです。高谷先生の研究は、歴史学、地理学など既存の学問分野にとどまらず、地域をよく観察する目とそこに暮らす人々との会話やつながりで育まれてきました。晩年はふるさとの守山に帰り、生まれ育った地域の成り立ちについて研究し、次世代の研究者の育成にも力を注がれました。高谷先生の思いを受け継いでいくために、自然環境や暮らし・文化、地域に根ざした研究、フィールドワークにより調査した優秀な論文に賞が与えられます。
今回の受賞論文は以下のとおりです。
受賞論文名:風土を閉じるとき ―閉村の過程と「神社を閉じる」意味―
論文概要:過疎が進んだ結果、日本では「閉村」する集落が増えている。これは、その土地で長い間人々に守り受け継がれてきた神社をはじめとする聖地の消滅にも直結している。その集落で最後の1人となったとき、人は何を思い、どのような行動をとるのか。そこで起こる聖地の消滅とは、具体的にどういうことなのか。
この論文では、福島県昭和村畑小屋集落、福井県越前市菅町を事例として、廃村に至る過程を明らかにしている。その中で特に、最後の住人の神社への対応に注目することで、地域における聖地の本質的な意味について考察し、人と土地の向き合い方について改めて考えようとするものである。
なお、受賞式は3月10日(日)一般財団法人守山野洲市民交流プラザで執り行われる予定です。