地球研陀安一郎教授、ふじのくに地球環境史ミュージアム日下宗一郎主任研究員、京都大学湯本貴和教授、東京大学総合研究博物館米田穣教授らの研究グループは、現代日本人の髪の毛を対象に安定同位体分析を用いた食性解析を行い、日本人の食性の地域差を調べた結果、現代日本人の髪の毛の炭素・窒素安定同位体比の変動はとても小さく、都道府県ごとに比較しても違いがほとんどないことを明らかにしました。髪の毛の採取と同時に実施した食生活のアンケートと、安定同位体比の結果はよく相関していました。また、髪の毛の同位体比の変動は、アメリカやヨーロッパ諸国の人々と同程度であり、アジアの国々に比べると小さいことも明らかとなりました。
本研究は、総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「日本列島における人間－自然相互関係の歴史的・文化的検討（研究代表者・湯本貴和：2005-2010年度）」の成果です。
この研究成果は、英国科学誌Natureの姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」誌（電子版）に2016年9月12日付けにて掲載されました。
論文タイトルと著者
表題：
Homogeneous diet of contemporary Japanese inferred from stable isotope ratios of hair
（髪の毛の安定同位体比から明らかとなった現代日本人の均質化した食性）
著者：
Soichiro Kusaka1,2, Eriko Ishimaru1,3, Fujio Hyodo1,4, Takashi Gakuhari5, Minoru Yoneda6, Takakazu Yumoto1,7, Ichiro Tayasu1,8
（日下宗一郎1,2、石丸恵利子1,3、兵藤不二夫1,4、覚張隆史5、米田穣6、湯本貴和1,7、陀安一郎1,8）
所属：
1Research Institute for Humanity and Nature
2Museum of Natural and Environmental History, Shizuoka
3Hiroshima University Museum, Hiroshima University
4Research Core for Interdisciplinary Sciences, Okayama University
5School of Medicine, Kitazato University
6The University Museum, The University of Tokyo
7Primate Research Institute, Kyoto University
8Center for Ecological Research, Kyoto University
（1総合地球環境学研究所、2 ふじのくに地球環境史ミュージアム、3 広島大学総合博物館、4 岡山大学異分野融合先端研究コア、5 北里大学医学部、6 東京大学総合研究博物館、7 京都大学霊長類研究所、8 京都大学生態学研究センター）
掲載誌：Scientific Reports 6:33122 (DOI: 10.1038/srep33122)
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