【開催報告】 第77回地球研市民セミナー

「“雨降って地固まる”-気候変動と日本史の怖くて深い関係-」

2018年6月8日(金)に第77回地球研市民セミナー「“雨降って地固まる”-気候変動と日本史の怖くて深い関係-」がハートピア京都にて開催し、126名の来場がありました。

今回の講師である中塚武教授は生物地球化学・古気候学を専門とし、2014年度から地球研のプロジェクト「高分解能古気候学と歴史・考古学の連携による気候変動に強い社会システムの探索」のリーダーを務めています。

(講演内容)

中塚教授は、遺跡から出土した木材(建物の柱、梁や、水田・水路の杭、板、農具原料)から試料採取を行い、それらの樹木の年輪セルロース酸素同位体比を測定することで過去の降水量の復元や年代測定を行ってきました。そしてこの手法を用いて過去2600年間の中部日本における降水量の変動パターンを1年~千年のすべての単位で復元することに成功しました。

また同教授の研究グループでは、昔の古文書から天候に関する記述を抽出し、降水量の変動をデータ化してきました。これらのまったく異なる方法で推定した両者の近世(18-19世紀)の降水量の変動パターンは、非常によく一致するだけでなく、これまでの日本の文献史学と考古学が明らかにしてきた洪水や干ばつなどの気象災害記録の出現頻度や、遺跡集落の高度分布などの景観情報とも十年から百年単位の変動パターンにおいて相互に一致していることが分りました。このように最新の研究データと古文書や天候記録と対比させることで日本の気候変動と、飢饉や反乱・災害などの歴史との因果関係を読みといています。

中塚教授は、降水量の長期かつ高分解能での変動パターンの解析をさらに進めていくとともに、気候災害が人々の暮らしにどのような影響をあたえ、人々はどのように乗り越え、適応してきたか(できなかったのか)、歴史からその知恵を学びたいと語りました。

■当日の様子

講演する中塚教授

講演する中塚教授

会場の様子

会場の様子

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