受託研究(RISTEX)[2014-2016年度]

フューチャー・アース構想の推進事業

日本が取り組むべき国際的優先テーマの抽出及び研究開発のデザインに関する調査研究

総合地球環境学研究所では、科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)による「フューチャー・アース構想の推進事業」の委託研究として、『日本が取り組むべき国際的優先テーマの抽出及び研究開発のデザインに関する調査研究』を実施しました(調査研究期間:2014年9月~2017年3月)。

持続可能な地球に向けての国際共同研究構想であるフューチャー・アースは、「人類が持続可能で公平な地球社会で繁栄する」というビジョンの実現に向けて2014年にSRA(Strategic Research Agenda)2014「戦略的研究アジェンダ2014」)を発表し、地球規模で優先して取り組むべき主要課題を明らかにしました。

これを受けて本調査研究では、日本が強みや特徴を活かし、持続可能な社会の実現に貢献するために優先的に研究すべき研究課題・テーマ群として、「日本における戦略的研究アジェンダ」(Japan Strategic Research Agenda; JSRA)の作成に向けて取り組みました。

 JST-RISTEX フューチャー・アース構想の推進事業
「日本が取り組むべき国際的優先テーマの抽出及び研究開発のデザインに関する調査研究」
最終報告書(PDF: 176p, 15.3MB)

1. JSRAの作成:日本における戦略的研究アジェンダ

持続可能な地球社会へ向けて、これから日本はどのような研究に取り組んでいくべきでしょうか?

本調査研究では、「日本における戦略的研究アジェンダ」(Japan Strategic Research Agenda; JSRA)の策定に向けて、企業・行政・市民・研究者からインタビューやアンケートによって研究課題を収集し、ワークショップを通じて日本が取り組むべき研究について明らかにしました。

図1 JSRA作成の流れ

図1 JSRA作成の流れ

  1. 課題の収集~研究課題候補を集める
  2. さまざまなステークホルダーから地球環境問題に関する課題を集めるため、市民とのグループインタビュー、行政や産業界へのインタビュー、研究者・有識者へのオンラインアンケートを行い、645の研究課題候補を収集しました。

  3. JSRAワークショップ~優先研究課題とテーマを選ぶ
  4. それらの研究課題候補を元にして、2016年1月にJSRAワークショップを開催。行政、NPO、産業界などの関係者と各分野の専門家約40名が集まり、これから日本が特に優先して研究すべき課題は何か、2日間にわたって議論や投票、グループワークを行い、約110の研究課題を抽出した上で10のテーマに分類しました。

    JSRAワークショップ 紹介映像

  5. JSRA2016~10テーマと107優先課題
  6. 最終的に選ばれた107の優先課題と10のテーマを、国内および海外に向けて発信します。

    図2 JSRAの10テーマ

    図2 JSRAの10テーマ

2. 2つの視点

①超学際(TD)研究の必要性

複雑な地球環境問題を解決するためには、研究者だけではなく、社会の中の様々なステークホルダーと協働しながら研究を進める「超学際研究(Trans-Disciplinary Research)」の実現が求められています。本調査研究では、専門家を招いての勉強会や、超学際研究に携わるアジア諸国の研究者によるワークショップを通して、超学際研究の評価の目的や指標について検討を行いました。その結果をふまえ、JSRA優先順位付けワークショップでは、「知識の不確実性」、「価値観の関与の大きさ」、「利害の大きさ」といった3つの観点を用いて超学際研究の必要性を評価しました。

②日本の強み(特徴)

日本が優先的に行うべき研究課題を探るためには、これまで日本が行ってきたフューチャー・アースに関わる研究を概観し、日本の強みとなる研究分野を把握する必要があります。本調査研究では、日本がどのような研究分野で国際的にインパクトのある研究を行ってきたかを俯瞰するために、学術文献データベースを用いて、日本が強みを持つ研究領域を検討しました。JSRA優先順位付けワークショップにおいては、各テーマにおける議論の材料として以下の2種類の資料を作成し、「日本の現状」と「発展性」の2つの観点から日本が優先的に研究すべき課題を検討しました。

  • 相対被引用度(CNCI)と日本の占有率に基づいた日本の研究の国際的位置づけ(トムソン・ロイターのInCites Benchmarkingを使用)
  • 日本の論文数(国立情報学研究所のCiNii Articlesを使用)

3. JSRAの優先度の検討:JSRA優先順位付けワークショップ

JSRAワークショップで選ばれた優先テーマと研究課題に基づいて、テーマごとに少人数の研究者・ステークホルダーが集まり、それぞれのテーマに含まれる研究課題について、超学際研究の必要性と日本の強みの2つの視点から優先度を検討しました。

図3 JSRA優先順位付けワークショップの流れ

図3 JSRA優先順位付けワークショップの流れ
※クリックで一例表示(アニメーション)

 優先順位付けワークショップの結果(PDF)

4. 研究課題のco-design ―研究者とステークホルダーとの共創―

本事業の成果報告会として、2017年2月4日に一般公開のシンポジウム 「わたしたちがえがく地球の未来(フューチャー・アース)―持続可能な地球社会へ向けて―」を開催しました。この成果報告会では、市民・行政・産業界・専門家から抽出したJSRAを「日本が取り組むべき107の研究課題と10のテーマ」として発表し、本事業で選ばれた研究課題を市民の視点から再度見直す機会となりました。

【成果報告会「わたしたちがえがく地球の未来―持続可能な地球社会へ向けて」記録映像】

JSRA2016 10テーマの紹介

JSRAで抽出された10のテーマを、これまで本事業のワークショップに参加した専門家10名が順番に登壇して、それぞれのテーマの背景と特徴的な研究課題を解説しました。

    【JSRA2016 10テーマの紹介スライド(PDF)】
    ※画像クリックで各スライドPDFが開きます。

  1. 食料の持続的な生産・加工・流通・消費
  2. 温暖化の予測・影響・適応・緩和
  3. 生物多様性と生態系保全
  4. 地球環境の変化がもたらす健康への影響
  5. 持続可能なエネルギー/資源の開発・アセスメント・管理・イノベーション
  6. 持続可能な地域社会
  7. 都市と農村の相互依存
  8. 社会経済の発展と環境保全の両立
  9. 環境と文化・ライフスタイル・価値
  10. リテラシー・対話・意思決定
来場者による投票「あなたがえらぶ研究課題」

「あなたがえらぶ研究課題」では、JSRAの研究課題から2つのテーマを題材として、来場者による投票を行いました。

  • テーマA「温暖化の予測・影響・適応・緩和」
  • テーマB「リテラシー・対話・意思決定」

この2つのテーマから、(問1)現在税金を投入して進めるべき研究課題と、(問2)100年後の将来世代を見据えて重要だと思う課題を、それぞれ3つずつ投票で選んでもらい、その場で集計結果を発表しました。

この中で、市民による投票結果と、専門家が判断した研究課題の優先度(優先順位付けワークショップの結果)を比べてみると、それぞれの視点の違いによって優先度の判断に違いがあることが分かりました。

※ 表示されない方はこちら(PDFファイル)

【順位表】

パネルディスカッション 「みんなでえらぶ研究課題―さまざまな視点で環境問題を考える―」

パネルディスカッション
「みんなでえらぶ研究課題
―さまざまな視点で環境問題を考える―」

この違いを題材として、パネルディスカッション「みんなでえらぶ研究課題―さまざまな視点で環境問題を考える―」では、さまざまな立場にあるわたしたちが、地球人としてお互いの視点を理解し合いながら、地球環境問題をどのように解決していくべきか議論しました。

5. ネットワーク形成

本調査研究では、日本における戦略的研究アジェンダの作成に加え、アジア地域におけるFuture Earthの戦略の作成に取り組みました。Future Earthの科学委員、関与委員、Knowledge Action Network関係者、およびアジア地域顧問委員と連携し、アジアにおける重要研究テーマを探索する過程は、日本以外の国の研究者やステークホルダーとのネットワーク形成にもつながりました。

 Future Earthアジア地域センター

Future Earth Community in Asia

アジアにおけるFuture Earthのネットワークを可視化するため、Future Earthコアプロジェクトに関わるメンバーが所属しているアジアの大学・研究機関の情報をインターネット上で収集し、データベースを構築しました。このデータベースを地図化し、“Future Earth Community in Asia” として公開しています。

メンバー

代表者

氏名 所属
谷口 真人 総合地球環境学研究所 教授

研究メンバー

氏名 所属
安成 哲三 総合地球環境学研究所 所長
MALLEE, Hein 総合地球環境学研究所 教授
大西 有子 総合地球環境学研究所 助教
西村 武司 総合地球環境学研究所 センター研究員
林 憲吾 総合地球環境学研究所 センター研究推進支援員

主な研究協力者

氏名 所属
蛯名 邦禎 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授
伊藤 真之 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授
鶴田 宏樹 神戸大学学術・産業イノベーション本部、工学研究科・みらい道場 准教授

成果物の利用について

本調査研究の成果物の著作権は、大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所に帰属します。

今後の活動の参考のため、成果物を利用された場合は下記までご連絡ください。

また、現物がある場合は、メールまたは郵送にて下記までご送付ください。

〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所
JST-RISTEXフューチャー・アース構想の推進事業 担当:谷口 真人
メールアドレス: 
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