地球研のめざすもの

図1 第3期中期目標・中期計画における地球研の研究体制の図

図1 第3期中期目標・中期計画における地球研の研究体制の図

地球研では、地球環境問題を人類共通の課題と認識し、さまざまな学問分野の研究に取り組んでいます。そのなかで、従来とは少し異なった視点からアプローチをとることにしました。それぞれ個別の学問分野が研究を重ねても、それだけでは地球環境問題の本質に迫れないのではないか、必要なのは部分的な理解ではなく、人と自然の相互作用環を全体として理解できる「統合知」ではないかと考え、現在、自然科学・人文科学・社会科学の文理融合による学際研究に加え、社会と連携して問題解決をめざす超学際的アプローチを含めて「総合地球環境学」の構築をめざしています。

「総合地球環境学」は、地球環境問題の本質が人と自然の関係のあり方という、広い意味での文化の問題にあるととらえていることに特徴があります。自然を畏敬するのも、冒涜するのも、あるいは自然を自分たちの一部であると感じるのも、利用すべき資源とみなすのも、文化の問題であると考えます。さらには、現在の地球上のさまざまな文化だけでなく、過去の文化にも学ぶ必要があります。そのなかでの課題は、今後私たちはどのような自然観(地球観)に基づく文化を、つまりどのような人と自然の関係を築き上げていくべきかということです。

この課題に対して、私たちはよく使われている持続可能性を超えた「未来可能性」という考え方を掲げました。今ある問題が何なのかを理解したうえで、私たちの孫、ひ孫の世代、さらに未来の世代にとって、今以上に住みよい地球を維持するために、私たちが何をすべきかを考えることは大切だからです。

地球環境問題を文化の問題から考えるということは、人びとのさまざまな価値観そのものを問題にすることでもあります。地球の将来を考えることは、否応なく異なる価値観との対立を生み、これまでもさまざまな社会的軋轢を生んできました。現在人類活動の影響が地球の隅々まで顕在化した「人新世(あるいは人類世)」に入ったともいわれ、人類にとって限られた資源と劣化した生物圏、汚染が進行する大気圏・水圏が地球規模で顕在化しつつあり、問題は山積みです。また、資源や自然の恩恵における不平等や格差も広がっています。このような状況を人類共通の課題として解決するためには、人類の多様な価値観を生かしつつ、さまざまな対話や交流を通じて、人類共通の新たな価値を創造する必要があります。「未来可能性」は人と地球の未来のあるべき姿を考える「総合地球環境学」を構築するために、私たちが込めた思いを表したものです。

2016年度からの地球研の第3 期中期目標・中期計画におけるミッションとして、私たちは以下の3項目を掲げました。

  • ▷ 地球研の研究蓄積と国内外の地球環境研究の成果を基礎とした、あるべき人間・自然相互作用環の解明と未来可能な人間文化のあり方を問う地球環境研究の推進
  • ▷ 研究者コミュニティをはじめ、多様なステークホルダー(利害関係者)との密な連携による、課題解決指向の地球環境研究の推進
  • ▷ 研究成果を生かした社会の現場における多様なステークホルダーによる取り組みへの参加・支援を通じた課題解決への貢献

第3期中期目標・中期計画では、それぞれの個別の実践プロジェクトを、より具体的な課題を掲げた3つの実践プログラム(①環境変動に柔軟に対処しうる社会への転換、②多様な資源の公正な利用と管理、③豊かさの向上を実現する生活圏の構築)にまとめることにより、相互の連携と統合をはかります。さらに、コアプログラムでは、実践プログラムと協働してさまざまな問題群の解決へ向けた手法や理論の研究を進めます。研究基盤国際センターは、これらのプログラムへの技術的な支援をすると共に、国内外の関連機関やFuture Earthなどの国際プログラムとの連携や協力および社会とのコミュニケーションを推進します。

地球の将来を考えることは、研究者だけの課題ではなく、人類全体にとって大切な課題です。社会との対話と協働・連携をとおして、人と地球の未来可能なかかわり方を、その多様性も含めて理解し、その答えを見つけていくことが地球研のめざすところです。

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