「長崎県地方における近年の大気エアロゾル環境」

荒生 公雄(長崎大学環境科学部)

 長崎県地方の近年の大気エアロゾル環境について報告したい。概要は以下の通りである。
(1) OPCで見ると、黄砂現象は、直径5μm以上の粒子数濃度が100個/L以上である大気状態とよく対応する。
(2) 上記の100個/Lは、NIESミーライダーの偏光解消度10%ともよく対応し、通常の大気状態であれば、OPC5μm粒子濃度とライダー偏光解消度から 黄砂状態が判定できる。ただし、ここでいう黄砂状態とは、大気エアロゾルの主成分が鉱物粒子から成ることを意味する。
(3) 近年、しばしば、直径1μm以下の小粒子エアロゾルの高濃度状態が顕著となり、時には黄砂粒子とほぼ同時に現れるため、黄砂現象の判定が困難な場合があ る。


図1 2005年11月07日に出現した黄砂現象時におけるOPCの時系列(長崎大学)。

(4) 微小粒子と黄砂とが混ざり合って、複雑なエアロゾル環境をつくり出していることに注目し、大気環境監視を強化する必要がある。