2012年9月4日更新
方言調査報告
門屋飛央(九州大学大学院)
 
1 調査期間
 平成24年7月14日~16日
 
2 調査地点
 鹿児島県薩摩川内市甑島(里、平良、瀬上)各地
 
3 調査目的
(1) 甑島方言における「希望」を表す「ゴト」
九州地方に広くみられる「ゴト(如)」について、甑島方言(里4名、平良1名、瀬上1名)での使用を調査した。「ゴト」は「様態」を表す形式としての他に、動詞意志形に接続して、「希望」を表す形式としても用いられていることを、下記の調査項目をもとに調査した。
a. 「動詞意志形+ゴタル」による発話のキャンセル可能性の有無
b. Yes/No疑問文における、返答への使用の可否
c. 他の「希望」を表す形式の有無

(2) 他の「様態」を表す形式
「ゴト」以外にも「様態」を表す形式があるのかを調査した。話者は(1)と同じである。その結果、「ソーヤイ」、「フーヤイ」という二つの形式が用いられていることが確認された。
 
 
 
 
2012年8月23日更新
方言調査報告
窪薗晴夫(国立国語研究所)
 
1 調査期間
 2012年8月6日~10日

2 調査地点
 鹿児島大学(鹿児島市)、鹿児島県立図書館(鹿児島市)および薩摩川内市各地

3 調査目的
(1) 鹿児島県立図書館方言ライブラリー
同ライブラリーを閲覧し、所蔵する音声テープの構成と内容を把握した。甑島方言についても4地点計5本のテープが所蔵されていることを確認した。

(2) 鹿児島方言若年層アクセントの調査
鹿児島方言の変化と、東京方言の影響、甑島方言との異同、以上の3点を探るために、鹿児島大学と薩摩川内市において合計8名の若年層話者(19歳~29歳)のアクセントおよびイントネーションを調査した。具体的な調査項目は次のとおりである。
 (a) 「俊一、俊二、俊三」タイプの人名アクセント
 (b) 「…信号」「…党」タイプの複合語アクセント
 (c) 「ベランダ」「ユニクロ」タイプの外来語アクセント
 (d) 「おかず」「お元気」のような「お+名詞」のアクセント
 (e) 「日・火」「十・塔」「飴・雨」のような同音語のアクセント
 (f) 人名の呼びかけイントネーション

(3) 鹿児島方言中高年層アクセントの調査
薩摩川内市において合計5名の中高年層話者(56歳~77歳)を対象に、アクセントとイントネーションの調査を行った。調査項目は上記若年層調査と同じであるが、中高年層については特に同音語のアクセントと呼びかけイントネーションの実態を中心に調査を行った。
 
 
 
2012年7月16日更新
甑島方言から古典語を考える
―方言研究との接点を求めて―
 
関西言語学会第37回大会 ワークショップ
「甑島方言から古典語を考える―方言研究との接点を求めて―」


日時:2012 年6月2日10:00~12:00
会場:甲南女子大学

【発表者】藤本 真理子(大阪大学大学院特任研究員)
     岩田 美穂(大阪大学大学院特任研究員)
     森 勇太(関西大学,日本学術振興会特別研究員PD)
【指定討論者】高木 千恵(大阪大学大学院)

●ワークショップ内容(PDF)
 
 
2012年7月16日更新
甑島方言文法班調査報告
岩田美穂(大阪大学特任研究員)
藤本真理子(大阪大学特任研究員)
 
1 調査目的
 鹿児島県薩摩川内市里町里にて甑島方言の文法事項を調査する。
 
2 調査日程
 平成24年5月10日(木)~5月13日(日)【移動を含む】
 
3 調査地点
 全て鹿児島県薩摩川内市里町里
 
4 調査内容
● 岩田美穂
5月11日~13日午前にかけて、60~80代の男性3人に対し、方言の聞き取り調査を行った。具体的には、条件表現に用いられる方言形式、及びそれに類する形式について、調査した。
 
● 藤本真理子
2012年5月11日(金)10:00~11:30
  岩田美穂氏による村岡豊治氏の調査(条件表現)に同席。
2012年5月11日(金)14:00~15:30
  岸正江氏に指示副詞「コガン」と「コガンタフウニ」、「ソガン」と「ソガンタフウニ」、
  「アガン」と「アガンタフウニ」の形式の使い分けおよび各使用状況について調査。
2012年5月12日(土)10:00~11:30
  村岡豊治氏に指示副詞(同上)の調査。
2012年5月12日(土)13:30~15:00
  石原巖氏に指示副詞(同上)の調査。
2012年5月12日(土)16:00~16:40
  岩田美穂氏による岸迪夫氏の調査(条件表現)に同席。
5月12日(土)17:10~17:50
  岩田美穂氏による塩田甚志氏の調査(条件表現)に同席。
5月13日(日)9:30~11:00
  西薗吉武氏に指示副詞(同上)の調査。